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旅情高まるアフガン料理の老舗!東中野「キャラヴァン・サライ」は自家製ヨーグルトが名脇役

外で食べる 投稿日:2025.02.19 / 更新日:2025.02.20

旅情高まるアフガン料理の老舗!東中野「キャラヴァン・サライ」は自家製ヨーグルトが名脇役

こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。

今回ご紹介する「キャラヴァン・サライ」は、東中野にあるアフガニスタン・中央アジア料理のレストランだ。

「キャラヴァン・サライ」

創業は36年ほど前。今でこそ中央アジアや中東料理のお店は増えたが、1980年代から提供されているとはひとえに感銘を禁じ得ない。しかも、吉祥寺や高円寺などのサブカル発信地ではなく、東中野というところが面白い。結果として、今の時代にも通用する独自の進化を遂げている。

筆者は20代前半にアフガニスタンやウイグル自治区にに行き、帰国後、中央アジアの味を懐かしんで、こちらを訪問したことがある。当時はずいぶんと洗練されていて、日本人にうまくアジャストされた料理だと実感した。

そして、今回久しぶりに訪れ、お店の魅力は今なお変わらない…と舌鼓を打った。ヨーグルトも自家製されているので、ヨーグルト好きならば一度訪れてみてはいかがだろうか?

それでは、「キャラヴァン・サライ」の魅力を、お伝えしよう。

1988年創業。日本人オーナーが始めた羊の串焼店がルーツ

「キャラヴァン・サライ」メニュー表

「キャラヴァン・サライ」の創業は1988年だ。お店は”PAO CONPAUND”という9階建てのビルの1階に入っている。もともと、絨毯の輸入業を営んでいた社長さんが、友人の家の裏庭にモンゴルの移動式住宅である「パオ」を建てて、羊の串焼き屋を始めたのが原点とのことだ。…なんて攻めたことを!

現在、「羊の串焼き」と聞いて頭に浮かぶ名店「神田味坊」の創業は2000年である。その12年も前に尖ったビジネスをする日本人がいたとは、世界の料理を愛する者として妙に嬉しくなる。

こちらの名物料理はいくつもあり、それぞれが他店にない魅力を持っている。そして、中央アジア・中東料理に馴染みがない人でも「美味しい!」と感じる調理なのが最大の特徴だろう。今よりも「エスニック料理」に対するハードルが高かった時代から人気を博してきた実力を感じる味わいである。

それでは、実際の料理のレポートをお届けしよう。

自家製ヨーグルトがあらゆる料理に合う!「キャラヴァン・サライ」の楽しみ方

「キャラヴァン・サライ」で頂いた料理は以下のとおりだ。

  • フェタチーズとトマトの冷菜:935円
  • アフガンマントウ:825円
  • キーマブラニ(小):880円
  • カラヒイ・羊:1,760円
  • ナン:440円
  • 自家製ヨーグルト:418円
  • ラグマン(大):1,540円
  • 乳酒ポット(小1合):1,540円 /(大2合):3,300円
フェタチーズとトマトの冷菜
フェタチーズとトマトの冷菜

フェタチーズとトマト以外に、ブラックオリーブ、パクチーを使用。中央アジアを感じる典型的なトマトのサラダに、フェタやブラックオリーブでアレンジを加えている。フェタの乳脂肪のコクと塩気がアクセントとして馴染む。

アフガンマントウ
アフガンマントウ

これは「アフガニスタン式の茹で餃子」と言ったテイストの料理だ。薄くとももっちりした生地で、食感が魅力的である。餡は羊の旨味と香りにパクチーの香りが加わり、塩気は穏やかで旨い。

ヨーグルトソースはヨーグルトの酸味とトマトの旨味、玉ねぎの風味を合わせているようで、サッパリと頂ける。実に相性が良い。

キーマブラニ(小)
キーマブラニ(小)

続いてのブラニ(「ボラニ」とも呼ばれる)は、「アフガニスタン式の薄焼きピザ」と言った料理だ。薄いパン生地で挽き肉を包んで焼いている(手前の白い液体はミルクのお酒【乳酒】で、詳細は後述する)。

キーマブラニ(小)

一口パクッとかじると、もっちりとした厚めの生地から羊の旨味とクミンの香りが広がる。これは羊肉料理が好きな人ならば笑顔になるはずだ。

トマトソースとヨーグルトソースをブレンドしたソースはバランス良く、料理の前面に出ることなく馴染む。

自家製ヨーグルト
自家製ヨーグルト

水分量が少なくややしっかりとした質感。ただ、ギリシャヨーグルトよりは軽めのテクスチャーだ。酸味はそこまで強くない。コクにしても酸味にしても、スッキリした方向性のヨーグルトだ。料理の魅力を引き出す名脇役として、ぜひとも合わせて頼むべし。

ナン
ナン

全粒粉の発酵ドウを使用しており、もっちりと力強い食感で香ばしい。噛みしめると旨いナン。美味しいので【ラグマン】も食べたい人は食べ過ぎ要注意である。

カラヒイ・羊
カラヒイ・羊

頂く前から広がる香ばしさと、頂いた瞬間に伝わる旨味が堪らない。トマトの旨味とピリ辛唐辛子が味の秘訣だと感じた。それほどまでにピリ辛の塩梅が良く、非常に強い旨味だ。

主役の羊肉も柔らかくて旨い。細切りの生姜の香りと辛味がアクセントになり、みじん切りのニンニクも使用してパンチを加えている。さらに、高温で炒めたような香ばしさのある脂汁が旨い。カロリーが…と思いつつ、気づけばナンで拭い去っている旨さだ。【自家製ヨーグルト】を合わせて頂けば、もう、止まらない。

ナンにカラヒイと自家製ヨーグルトをのせて。
ナンにカラヒイと自家製ヨーグルトをのせて。
キャプション:ラグマン(大)
ラグマン(大)

ウイグル料理として有名なラグマン(ラグメン)。こちらは日本人向けにアレンジして、ゴマを加えて担々麺的な方向性で作っている。伝統的な麺はうどんに近いが、こちらはフェトチーネ的なもちもち麺だ。

細やかな挽き肉とたっぷりのゴマ、さらにシシトウの香りが滲んでいる。創作的なラグマンとして実に美味しい。この店ならではの味があるので、原理主義的に「これはラグマンじゃない!」と叫ぶのは無粋である。ヨーグルトを合わせるとスッキリとした味チェンになるので、これまた合わせ技で楽しみたい。

乳酒
乳酒

お酒はミルクを発酵させて造る【乳酒】を推したい。日本人にとって「え、ミルクのお酒?なんか臭そうだな…」と思うかもしれないが、決して臭くなく、甘くもない。

香りは上品な甘酒風で、ミルクの香りが嫌味なくふんわりと漂う。甘ったるくはなく、キリッとした旨味や苦味がふんわりとあるお酒なので、料理を邪魔しない。むしろこちらの料理との相性が良い。なかでもカラヒイと特に合う。ペアリングの選択として、イチオシだ。

「キャラヴァン・サライ」内観

お店にはテーブル席と座敷(絨毯の席)があり、予約時にどちらがよいか確認してくれる。足や腰が大丈夫であれば、ぜひとも座敷を選んで頂きたい。そうすれば、お店の風情を最大限楽しめる。

キャラヴァン・サライ

住所:東京都中野区東中野2-25-6
電話番号:03-3371-3750
予約可否:予約可 ※大人気なので予約が望ましい
営業時間:17:00〜23:00(L.O. フード 22:00 ドリンク 22:30)
定休日:火曜、年末年始
お店の公式サイト
http://paoco.jp/

記事を書いた人

大谷悠也
大谷悠也

鮨研究家、文筆家、ブロガー。鮨の人気を高めるべく「すしログ」を運営し、全国を精力的に回る。鮨に限らず、旺盛な食欲と好奇心を腹に、日本国内外で6,000軒以上の飲食店を訪問。市場や生産者、醸造家のもとに足を運び、自ら調理も行う。

すしログ
https://sushi-blog.com/

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