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乳製品大国インドのヨーグルト事情を「スパイスの達人」シャンカール・ノグチさんに聞いてみた。

ヨーグルトラボ 2022.11.24

乳製品大国インドのヨーグルト事情を「スパイスの達人」シャンカール・ノグチさんに聞いてみた。

スーパーやコンビニエンスストアにさまざまな種類のヨーグルトが並び、日本でもヨーグルトは食卓に欠かせない食品として浸透しています。世界における乳製品の消費割合が20%と世界一乳製品を摂取するインドに、ヨーグルト文化はどのように根づいたのでしょうか。

インド人の祖父を持ち、自身もスパイスの書籍を多数出版しているスパイスの専門家「シャンカール・ノグチ」さんに、インドでヨーグルトが食べられるようになった歴史や最近のヨーグルト事情についてお聞きしました。シャンカールさん直伝のヨーグルトを使ったレシピも紹介しています。

インタビュー

— 日本で乳製品が初めて食べられたのは飛鳥時代と言われています。奈良時代には、牛乳を使ったお菓子「蘇(そ)」が作られていた記録が残っています。インドでは、いつ頃から乳製品やヨーグルトを口にするようになったのでしょうか。

シャンカール・ノグチさん(以下、シャンカール)「乳製品が食べられるようになったのは、現在のイラクの一部にあった「メソポタミア文明」が最初だといわれています。インドでは、お釈迦様が苦行を行っていたときに、村娘のスジャータからミルク粥を授けられた話が残っています。ですから、そのときには既に副産物としてヨーグルトが食べられていたかもしれません。」

「また、紀元前1000年から500年にかけて編さんされた「ヴェーダ文献」にも、ヨーグルトが使われている記述が出てきます。歴史上、ヨーグルトがいつどこで発生したかは定かでありません。インドをはじめとする酪農文化があった地域で、同じようなタイミングでヨーグルトが食べられるようになったのではないかと考えられています。」

— インドでヨーグルト文化が発展した理由を教えてください。

シャンカール「インドでヨーグルト文化が発展したのには、ふたつの理由があります。ひとつがインドに保存技術がなかったこと。今でこそインドも冷蔵技術が進みましたが、かつては保存技術がなかったため、腐りやすい牛乳を発酵させてヨーグルトやバターなどにしていました。こうしてインドでは、ヨーグルト文化が人々に根付いていきました。」

「もう一つの理由は、インドに多く暮らすベジタリアンが関係しています。インドに住む人の約3~4割はベジタリアンです。インドの人口は約13億人なので、約4億人がベジタリアンだと考えていただくと、規模の大きさが想像できるでしょう。」

「宗教も関わってくるのですが、ヒンズー教徒の中には肉を食べないラクト・ベジタリアンがいます(ラクト・ベジタリアンとは植物性食品に加え、乳・乳製品などを食べる人々)。農耕作業の働き手の牛を傷つけて食べることは考えられないし、神聖な動物でもあります。ジャイナ教において、殺傷が禁止されていることからの影響もあります。」

「しかし牛や水牛のミルクは最大の恵みとして考えられています。ヨーグルトも旨味を得られる大切な栄養源なのです。」

— 日本では、スーパーやコンビニなどでヨーグルトを購入するのが一般的ですが、インドでもヨーグルトはお店で購入しているのでしょうか。

シャンカール「インドでは、家庭でヨーグルトを作るのが一般的です。各家庭には、牛乳を煮沸するための2層になった鍋があり、牛乳からは、生クリームやヨーグルト、ギーと呼ばれるバターオイル、デザートなどが作られます。」

「ヨーグルトは、乳製品の中でも加工の過程で中間に位置するとても大事なものです。町中にはヨーグルト屋台があり、壺入りのヨーグルトなどを気軽に食べられる環境です。」

— 今でもインドでヨーグルトは身近なものなのでしょうか?

東京スパイス番長「チャローインディア」より
東京スパイス番長「チャローインディア」より

シャンカール「昨今ではヨーグルト屋台も昔よりは少なくなったと思います。その理由にはインドに、乳製品を製造販売する企業の拡大が背景にあります。」

「今まで家庭で作っていたヨーグルトを、人々がお店で購入できるようになりました。日本のショッピングモールのような建物もできたり、ワイン文化が浸透したりと海外のものを受け入れる時代に来ているインドでは、ヨーグルトは家庭で作るものからお店で買うものに変わりつつあるのかもしれません。」

ヨーグルトの歴史から、インドでヨーグルト文化が浸透した理由、最近のインドのヨーグルト事情についてお聞きしました。最後にシャンカールさん直伝の、ヨーグルトを使ったラッシーのレシピを紹介します。基本のラッシーの作り方とあわせてアレンジレシピも教えていただきました。インドのヨーグルトレシピをぜひご家庭でも試してください。

ラッシーの基本レシピ

【用意するもの】

  • ヨーグルト
  • 砂糖(お好みで)

ヨーグルトと水を8:2の割合でコップに入れたら、泡が立つ状態になるまで、しっかり混ぜます。そして好みの量のガムシロップを入れましょう。塩を入れてソルトラッシーという飲み物もインドにはあります。濃い味が好きな人は、水を牛乳に変えて濃厚なラッシーを楽しむのも良いでしょう。

インドのヨーグルト事情

ラッシーのアレンジレシピ

  • マンゴーラッシー
    できあがったラッシーの上からマンゴーパルプ(ピューレ)を入れて混ぜれば、マンゴーラッシーができあがります。ほかにもキウイやストロベリーなどの果物もラッシーにあうフルーツです。これからの時期なら柿もおすすめです。フルーツは潰して入れましょう。
  • ローズウォーターラッシー
    高級感を出したいなら、ローズウォーターを小さじ1加えて混ぜます。

話をしてくれた人

シャンカール・ノグチ

シャンカール・ノグチ

スパイスハンター

スパイス商人そして調香師。インド・パンジャブ州出身の祖父の代から続くインドアメリカン貿易商会の三代目代表。ラムバサダー※、東京スパイス番長に所属している。著書に「スパイスの世界へようこそ」(河出書房新社)がある。

※「ラムバサダー」とは?
様々な角度からラム肉の魅力を発信する食のプロ集団。
http://aussielamb.jp/lambassador/

SPICE TOKYO
シャンカールのスパイス情報、レシピ、スパイス販売
https://www.spice.tokyo/

記事を書いた人

みんなのヨーグルトアカデミー編集部
みんなのヨーグルトアカデミー編集部

私たちは「ヨーグルトを通して世界を見る」をテーマに、食べる人、つくる人、料理に使う人、研究者する人など、ありとあらゆるヨーグルト関係者に取材を敢行し、さまざまな角度からヨーグルトの面白さを発信。

普段何気なくヨーグルトを食べている人のヨーグルト愛をくすぐり、もっと楽しく、おいしくヨーグルトに関わってもらいたいと考えています。