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日本で唯一のブルガリア料理店が、東京の雑色駅にあった!~雑色「Orphic Bar(オルフィック バー)」~

外で食べる 2023.02.14

日本で唯一のブルガリア料理店が、東京の雑色駅にあった!~雑色「Orphic Bar(オルフィック バー)」~

こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。
食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。

今回ご紹介する料理店は、東京のみならず日本全国でも大変珍しいブルガリア料理のお店だ。

日本人にとって、「ブルガリアと言えばヨーグルト。ヨーグルトと言えばブルガリア」というイメージが強いかもしれない。

これは言うまでも無く大手乳製品メーカーの功績だろう。しかし、ブルガリア料理はヨーグルトだけでは語れないので、「ヨーグルトを軸に楽しむ」のが理想的だと言える。

筆者はバックパッカー時代にブルガリアに滞在したことがあるが、近隣の国でトラブルに見舞われ、全財産を盗まれたので長期間の滞在ができなかった。至極残念である。

当時はトラベラーズチェックが旅人の主流通貨であったため、再発行のために早急にイスタンブール(トルコ)に行かねばならなかったのだ。

しかし、わずかの滞在期間であっても、口にしたヨーグルトのサラダやスープ、ソースは記憶に強く残るおいしさであった。

なので、今回の「Orphic Bar(オルフィック バー)」は、期待値が非常に高い中での訪問となった。

しかも、場所は雑色(東京都大田区。京浜急行線の雑色駅)。
近隣に住んでいなければ、イメージしづらい場所だろう。
筆者も自宅から1時間以上かけて訪問した。

結果として、期待に大いに応えてくれるとともに、ブルガリア料理の美味しさに舌鼓を打つこととなる。

ブルガリア料理 Orphic Bar(オルフィック バー)

本記事では、ブルガリア料理と「Orphic Bar(オルフィック バー)」の魅力を、たっぷりとお伝えしよう。

そもそもブルガリア料理とは?代表的な食べ物を紹介!

ブルガリア料理の特徴を挙げると、野菜を積極的に用いる点と、乳製品を多用する点だろう。そして、塩気や油分は控えめな印象だ。

調理法としては焼き、オーブン焼き、煮込みが多い。
日本と同じく春夏秋冬があるため、旬の野菜を用いて、季節ごとに料理を楽しむ文化もある。

「Orphic Bar(オルフィック バー)」のご主人、吹田浩司さんいわく「ブルガリアは野菜の種類が豊富で、味が濃い」との談だ。

料理ジャンルとしては、近隣のギリシャ料理と、トルコを始めとする中近東料理の影響が見られ、そこに野菜と乳製品の要素を加えて発展した傾向が見て取れる。

ギリシャ料理として有名な「ムサカ」はブルガリアにもあり、ブルガリアを代表する料理だが、ギリシャのそれとは大きく異なる。

これがブルガリアのムサカ。ギリシャとは異なりホワイトソースを用いず、ヨーグルトと一緒に食べるためアッサリした味わいだ。
これがブルガリアのムサカ。ギリシャとは異なりホワイトソースを用いず、ヨーグルトと一緒に食べるためアッサリした味わいだ。

他の代表的な料理としては、以下のようなものが挙げられる。

  • タラトール(ヨーグルトの冷製スープ)
  • ショプスカ(羊のチーズ・シレネを使った野菜サラダ)
  • カヴァルマ(ブルガリア風トマト煮込み)
  • ギュベチ(オーブン焼き肉と野菜のシチュー)
  • ミッシュマッシュ(野菜と卵のチーズ炒め)
  • サルマ(ブルガリア風ロールキャベツ)
  • ケバプチェ(挽肉の棒状ハンバーグ)

野菜や乳製品を多用する料理と聞くと、男性諸氏の食指が動きにくいかもしれない。
しかし、一度食べてみるとおいしさに驚き、ブルガリアに行ってみたくなるだろう。ワインとの相性が良い料理も多い。

日本のブルガリア料理店と「Orphic Bar(オルフィック バー)」について

「Orphic Bar(オルフィック バー)」は恐らく日本で唯一のブルガリア料理店である。

かつて東京・八重洲に「日本唯一」を謳うブルガリア料理店「ソフィア」があり、ブルガリア大使館のお墨付きだったそうだが、あえなく閉店してしまった。

開店当初はブルガリア人シェフが在籍していたものの退職し、その後ブルガリア料理に精通する人がいなくなったことが原因のようだ。

その点、「Orphic Bar」は異なる。

ご主人の吹田さんは、1993年から15年以上もブルガリアに住んでいたそうだ(ちなみに隣接地帯で起こったユーゴスラビア紛争は1991年~2001年)。

そして驚くべきことに、ヨーグルトが自家製であるばかりか、ブルガリアの種を3種使い分けているそうで、ブルガリア料理への深い愛情がうかがい知れる。
もちろん使用するチーズもブルガリア産。

「Orphic Bar」は個人店で、希少性の高い料理ジャンルである。それにもかかわらず、現地の味と真摯に向き合いながら日本人が好むように調理されているとは、頭が下がる。

吹田さんのお料理は、全般的に塩気が穏やかで上品だ。
しかし、味覚の構成はしっかりと利いていて、物足りないことは決してない。

単に「物珍しさ」だけで訪問するには、もったいないお店である。
なお、店名には「Bar」が付いているが、落ち着いた雰囲気の小体なダイニングバーとして利用できるので、食事目的での訪問も全く問題ない。

次項では、「Orphic Bar」のおいしい料理たちを紹介していく。

Orphic Bar(オルフィック バー)のお料理を紹介!

「Orphic Bar」で、今回いただいたお料理は下記のとおりだ。

  • スネジャンカ 670円
  • ケバプチェ 840円
  • シーレネ・ヴ・ギュヴェチェ 1,200円
  • ブルガリア風ムサカ、ハーフ 960円
  • カヴァルマ 1,560円

なお、お酒類については、非常に珍しいブルガリアのワインや蒸留酒(ラキヤ)もある。
今回いただいたワインは、こちらの2種類だ。

  • ロヴィコ・ムスカット デキャンタ1,740円
  • シャトー・ブルゴゾーネ ロゼ デキャンタ2,430円
ブルガリア料理 Orphic Bar(オルフィック バー)
スネジャンカ
スネジャンカ

スネジャンカは、ヨーグルト、キュウリ、ニンニク、ディル(ハーブの一種)のサラダ。
このサワークリームっぽいのがサラダなのだ!

使用しているヨーグルトは、濃密な口当たりで、酸味がしっかりしている。
流石、自家製で、理想の味を表現しているだけある!
ゆえに、ニンニクがしっかりと効いているが、とっても爽やかに感じる。
強い酸味でキリリ!と味が引き締まり、他には無い味わいのつまみだ。

ケバプチェ
ケバプチェ

中東料理でも見かける、皮なしソーセージ(棒状ハンバーグ)のグリルだ。
見た目は地味だが、味は秀逸で、ふんわりしていてジューシー。同時に、肉の食感も楽しめる。
カリッと香ばしく焼いているのがアクセントとなり、妙に嬉しくなる。

ホールのクミンが上品に使われていて、香りも良く、実に味わい深い一品だ。

シーレネ・ヴ・ギュヴェチェ
シーレネ・ヴ・ギュヴェチェ

シーレネとは、ブルガリアを代表する白いチーズのこと。

つまりチーズを使った、トマト、タマネギと卵の壺焼きだ。

ブルガリアの白チーズには、ヨーグルト的な酸味がある!
ギリシャのフェタのようだが、味は結構異なる。

チーズなので、酸味に加えて旨味もあり、加熱によって旨味が活きる。
そこに、野菜の甘味と卵の甘味が交わり、身も心も温まるお料理となる。

ブルガリア風ムサカ(ハーフサイズ)
ブルガリア風ムサカ(ハーフサイズ)

挽き肉とジャガイモのオーブン重ね焼きだ。
前述のとおり、ギリシャのムサカよりも格段にアッサリしていて、表面の卵はふんわりとした食感。

挽き肉がたっぷり使われていて、ジャガイモだけでなく人参も使用されている。
ローズマリーを上品に利かせていて、香りが優しく寄り添う。

酸味が効いたヨーグルトとの相性も良く、ことさらサッパリと頂ける。

カヴァルマ
カヴァルマ

豚肉、ネギ、パプリカの壺焼きだ。
野菜の甘味が実に優しい。
豚肉はホロホロで、味わいとしては壺焼きのシチュー的なイメージである。

オレガノなどのハーブが用いられているが、尖ったところはなく、誰もが美味しいと感じる味わいだろう。

お店は細い路地にあるため、初訪問の人は不安に思うかもしれない。

ブルガリア料理 Orphic Bar(オルフィック バー)

しかし、心配は無用だ。

ブルガリア料理 Orphic Bar(オルフィック バー)

看板の言葉に誘われてお伺いすれば、未体験の味が待っている。

ブルガリア料理 Orphic Bar(オルフィック バー)

お店のメニューは以下の通りだ。

ブルガリア料理 Orphic Bar(オルフィック バー) メニュー

本文中に記載されているメニューと価格は、取材時(2022年12月)のものです。

オルフィック バー

住所:東京都大田区仲六郷2-42-3 TFハウス1F
電話番号:080-7859-7940
予約可否:予約可(予約をせずとも、訪問前の電話確認が望ましい)
営業時間:木曜~土曜 18:00~23:00、日曜不定休
定休日:日曜~水曜
お店の公式サイト
http://zagorie.jp/
Twitterアカウント
https://twitter.com/OrphicBar

記事を書いた人

大谷悠也
大谷悠也

鮨研究家、文筆家、ブロガー。鮨の人気を高めるべく「すしログ」を運営し、全国を精力的に回る。鮨に限らず、旺盛な食欲と好奇心を腹に、日本国内外で6,000軒以上の飲食店を訪問。市場や生産者、醸造家のもとに足を運び、自ら調理も行う。

すしログ
https://sushi-blog.com/