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麻布十番のギリシャ料理店「タベルナ・ミリュウ(Taverna Milieu)」~ギリシャで定番の万能ヨーグルトディップ「ザジキ」とは?~

外で食べる 2023.04.14

麻布十番のギリシャ料理店「タベルナ・ミリュウ(Taverna Milieu)」~ギリシャで定番の万能ヨーグルトディップ「ザジキ」とは?~

こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。

今回ご紹介する「タベルナ・ミリュウ(Taverna Milieu)」は、麻布十番にあるギリシャ料理の人気店である。

かつて筆者はエジプトからキプロス航空でギリシャに渡ったことがある。イスラムの国からの移動であったため、ギリシャで豚肉を食べられることに感動した。
同時に、使用する食材も豊富なので、多くの日本人が好む味わいだと実感した。
そして、今回訪問した「タベルナ・ミリュウ」は紛れも無く本格的なギリシャの味を伝えるお店である。

それでは、「タベルナ・ミリュウ」ならびにギリシャ料理の魅力を、お伝えしよう。

ギリシャ料理におけるヨーグルトの立ち位置

ギリシャにおける代表的なヨーグルト料理と言えば「ザジキ」が非常に有名だ。「ザジキ」とは、ヨーグルトとキュウリ、ガーリックで作るディップである。

同様の調理はトルコやブルガリアで見られるが、ギリシャでは単にディップにとどまらず、各種料理のソースのように多用されるので、他国とは異なる進化を遂げていると実感する。

他国ではヨーグルト料理のバリエーションが豊富だが、ギリシャでは「ザジキ」が特に愛されている印象だ。
ギリシャではヨーグルト料理の種類が豊富というわけではないものの、「ザジキ」が様々な料理の名脇役として使われる。
その理由は「ザジキ」が様々なギリシャ料理に合う味覚であるからに他ならないだろう。「タベルナ・ミリュウ」では、それを皆が実感できる。

代表的なギリシャ料理としては、以下のようなものが挙げられる。

  • ドルマ(ブドウやキャベツの葉で肉を包んだ蒸し煮)
  • タラモサラタ(塩漬け魚卵とジャガイモのサラダ)
  • スヴラキ(豚や鶏肉の串焼き)
  • ムサカ(挽肉、茄子、ジャガイモの重ねオーブン焼き)
  • サガナキ(ギリシャチーズの焼いたもの)
  • ギロピタ(ドネルケバブ風のサンドイッチ)

ギリシャ料理はトルコ料理と同様に「メゼ(前菜) の盛り合わせ」が好まれる。そして、メゼの定番が「ザジキ」だ。
意地汚い話になるが、メゼで満腹になるのはもったいないので、「ザジキ」を残しておいて色々な料理と合わせてみると楽しさがアップするように感じる。

ちなみに、有名な「タラモサラタ(サラダ)」は、「タラコとジャガイサラダ」だと思っていないだろうか?

実は、これは間違いだ。

語感的に「タラコとジャガイモのサラダ」で「タラモ」のように思いがちだが、実は「タラマ(魚卵)のサラダ」が本当の意味となる。
しかも、使用する魚卵はコイやボラのそれであり、タラコではない。塩漬けの卵巣をほぐして、マッシュポテト、オリーブオイル、レモン汁などと混ぜて頂くのが「タラモサラタ」だ。

「タベルナ・ミリュウ」の真中正晴シェフについて

「タベルナ・ミリュウ」は2009年にオープンしたお店なので、すでに10年以上の歴史がある。麻布十番は競争が激しい土地だが、幅広い世代や国籍の人に愛されて続いている様子だ。訪問した際も、若い方から年配の方、日本在住の外国人など多様性を感じる客層であった。

オーナーシェフの真中正晴さんは、フランス料理でキャリアをスタートされたが、在ギリシャ日本国大使公邸に勤めたことが契機となり、独立時にギリシャ料理を選ばれたそうだ。

お料理の提供スピードは速く、混んでいてもストレスなくお料理を頂ける点が頼もしい。また、お店のスタッフは皆さんフレンドリーで、大変居心地が良い。味だけでなく、雰囲気や接客も申し分ないレストランである。

なお、店名に冠する「タベルナ」とは、ギリシャ語で「大衆的なレストラン」を意味する。フランスでの「ビストロ」、イタリアでの「トラットリア」のような位置づけだ。

しかし、「タベルナ・ミリュウ」のお料理は決して「大衆的」ではなく、レストランの技が光る。シェフの謙虚なお気持ちや、幅広い人に楽しんでもらいたいという想いを感じ、実際にそれが高度に実現されている。

「タベルナ・ミリュウ」のお料理を紹介!

「タベルナ・ミリュウ」で、この度頂いたお料理は下記のとおりだ(2人分)。

  • 前菜盛り合わせ:1,200円
  • ドルマーデス:1,200円
  • ヤリイカのフリット:1,200円
  • ムサカ:1,500円

メニューブックに並ぶお料理が非常に魅力的なので、本来であればもう1~2品頂こうと考えていたが、1料理あたりのポーションが大きいので、上記で満腹になった。頼む品数は、「人数×2」を目安にすると良いだろう。

前菜盛り合わせは、ザジキ(ギリシャヨーグルトのディップ)、タラモサラダ、フムス(ひよこ豆のペースト)の3点と、ピタ(平焼きパン)のセット。
前菜盛り合わせは、ザジキ(ギリシャヨーグルトのディップ)、タラモサラダ、フムス(ひよこ豆のペースト)の3点と、ピタ(平焼きパン)のセット。

「ザジキ」をピタ(平焼きパン)と一緒に食べた瞬間に、これぞギリシャの味だ!!と叫びたくなった。
濃厚な味わいのヨーグルトで口当たりも濃密だ。

ガーリックの使い方が非常に上品で、ディル(ハーブの一種)も使用されている。

フムス(ひよこ豆のペースト)

ピタのオレガノの香りが実にギリシャ的で、素晴らしい組み合わせ。
こちらの「フムス(ひよこ豆のペースト)」はゴマのフレーバーが強く、コクがある。「タラモサラダ」は日本人には馴染みやすい味わいだ。

ドルマーデス
ドルマーデス

ブドウの葉で牛肉とお米を包んで蒸し煮にしている。日本人にとっての桜の葉のような使い方だ。お米はもっちりしていて、牛肉の香りとコクがたっぷり。

付け合わせのレモン果汁はもちろん、「ザジキ」と食べても美味しい。

ヤリイカのフリット
ヤリイカのフリット

衣はきめ細やかで、サックサク。身はコリコリと柔らか。塩気を効かせているため、ヨーグルトソースと相性バッチリだ!

揚げ物なのに実に爽やか!

胴の部分は、くにゅくにゅと気持ち良い弾力で、旨味と甘味が強い。部位で味が異なるため、決して飽きない。技術が光る揚げ物で、ヨーグルトソースの威力を実感する。

ムサカ
ムサカ

なす、牛肉のミンチ、ジャガイモ、ベシャメルソースで作られる、最も有名かもしれないギリシャ料理だ。

こちらの「ムサカ」は、シナモンの香りがしっかりと効いているので、食欲をそそる。
重厚で存在感のある味わいだが、個々の味わいが繊細に組み立てられていて、大味でなく複雑。

なお、お酒類については、ギリシャの伝統的なものが網羅されている。

  • ザシャリアス・ワイナリー オミクロン・ホワイト(白ワイン):700円
  • 日替わりロゼ:1,000円
ザシャリアス・ワイナリー オミクロン・ホワイト
ザシャリアス・ワイナリー オミクロン・ホワイト
日替わりロゼ
日替わりロゼ

ロゼはクシノマヴロと言う土着品種で、チェリー、クランベリーなどの香りが印象的で、今後も試してみたいと感じた。

ちなみに、スパークリングはフランスのものだが、美味しい。

スパークリングワイン

料理を頂き終えた瞬間に、今回頂けなかったメニューも次回試してみたいと強く感じた。特にギリシャでお世話になった「ギロピタ(ギリシアの肉料理のひとつ)」はリベンジしたいところだ。

店内席だけでなく、テラス席もあるので、これからの季節にピッタリだろう。

テラス席

卓上の模様は「マティ」と呼ばれる、ギリシャの魔除けのしるしだ。

「マティ」と呼ばれる、ギリシャの魔除け

お店は結構な人気を誇っているので、2週間以上前に予約するのが望ましい。

タベルナ・ミリュウ

住所:東京都港区東麻布2-23-12
電話番号:03-3568-7850
予約可否:予約可
営業時間:11:30~15:00、17:30~21:00
定休日:日曜
お店の公式サイト
https://milieu.tokyo/ja/home-jp/

記事を書いた人

大谷悠也
大谷悠也

鮨研究家、文筆家、ブロガー。鮨の人気を高めるべく「すしログ」を運営し、全国を精力的に回る。鮨に限らず、旺盛な食欲と好奇心を腹に、日本国内外で6,000軒以上の飲食店を訪問。市場や生産者、醸造家のもとに足を運び、自ら調理も行う。

すしログ
https://sushi-blog.com/

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