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【新連載に寄せて】身近すぎて当たり前、でもなくなったら困る――ヨーグルトは「わたしをささえるもの」|江六前一郎

ヨーグルト愛の人々 2023.03.24

【新連載に寄せて】身近すぎて当たり前、でもなくなったら困る――ヨーグルトは「わたしをささえるもの」|江六前一郎

日本人の4人に1人が、朝食にヨーグルトを食べているといいます(出典:朝食に関するアンケート調査)。

スーパーマーケットだけでなくコンビニエンスストアなどでも買えて手軽に食べられることや、健康志向もあってその数は増加傾向にあり、私たちの日々の暮らしを支える食品の一つといえます。

実際、私自身も毎朝ヨーグルトを食べている「ヨーグルト愛の人々」なひとりです。

かれこれ5、6年位になるでしょうか。「腸内環境が良くなるから健康にいい」という妻の勧めで毎朝食べるようになりました。今では、旅先でのホテルの朝食でも自然とヨーグルトを手にするようになり、自ら選んでヨーグルトを食べる人になっています。

ヨーグルトは、私自身にとってWellness(よりよく生きようとする生活態度)の根幹といえるものなのです。

ヨーグルトを使った料理にも可能性を感じている。写真は、オーストラリアのメルボルン近郊のジーロンという海辺の街のレストラン「Tulip(チューリップ)」で食べたラム(仔羊)のスペアリブ。ヨーグルトを使った酸味のあるソースが、スペアリブの脂をうまく中和して、さわやかなひと皿にしていた。ヨーグルトはうま味と酸味、甘味、さらには口当たりのよさがあり、それだけでソースのベースになることを知るきっかけになった思い出の料理。
ヨーグルトを使った料理にも可能性を感じている。写真は、オーストラリアのメルボルン近郊のジーロンという海辺の街のレストラン「Tulip(チューリップ)」で食べたラム(仔羊)のスペアリブ。ヨーグルトを使った酸味のあるソースが、スペアリブの脂をうまく中和して、さわやかなひと皿にしていた。ヨーグルトはうま味と酸味、甘味、さらには口当たりのよさがあり、それだけでソースのベースになることを知るきっかけになった思い出の料理。

見ているようで見ていなかった、ヨーグルトへの解像度の低さ

しかし、こんなにお世話になっているヨーグルトなのに、わざわざ買いに出かけることもありませんし、「あそこに売ってるヨーグルト、すごくおいしいんだよ」とか「最近のおすすめヨーグルトってある?」といった話を、食が好きな友人たちとほとんどしたこともありません。

お米やパン、コーヒーといった同じように生活を支える食品なら、好きなお店やブランド、こだわりの食べ方があるのですが、ヨーグルトについては「ギリシャヨーグルトが好きかなァ」くらいの多少の好みがあるくらい。メーカーやブランドは、それほど意識していない、むしろ無意識に食していた自分に、ハッと気づかされました。

こんなにも身近で毎日食べているのに、なぜか無関心で無頓着。ヨーグルトに対して圧倒的に解像度が低かったのです。

あまりに身近にあるがゆえに、つい忘れてしまう存在――。ヨーグルトは、じつは慈悲深い愛で私たちの毎日を支えている親や家族のような存在なのかもしれません。

京都のイノベーティブレストラン「LURRA˚(ルーラ)」のスペシャリテに野菜づくしのひと皿がある。2021年の春/夏メニューのメイン料理として食べた際には、京都の季節の野菜に、バラのハリッサ(中東の辛み調味料)に山羊のヨーグルトを合わせていた。
京都のイノベーティブレストラン「LURRA˚(ルーラ)」のスペシャリテに野菜づくしのひと皿がある。2021年の春/夏メニューのメイン料理として食べた際には、京都の季節の野菜に、バラのハリッサ(中東の辛み調味料)に山羊のヨーグルトを合わせていた。

シェフや料理人の言葉が「心のエネルギー」になる

「みんなのヨーグルトアカデミー」のみなさんから、シェフや料理人のみなさんと一緒に作る連載記事の制作に光栄にもお誘いいただきました。最初のミーティングでお話をしていくなかで、はっと気づかされたのがこのヨーグルトとの不思議な関係性でした。

これから月に1回から2回のペースで、シェフや料理人のみなさんにお聞きしていく連載のテーマ「わたしをささえるもの」のアイディアもそのときのハッとさせられた気づきの瞬間が出発点になっています。

シェフの人生を見えないところで支えていた存在、それは、スタッフや家族、修業先の師匠といった人物かもしれないですし、キッチン道具や食材かもしれません。もしくは、旅や本、映画といった作品なこともあると思います。

第一線で活躍するシェフや料理人のみなさんの経験や思い出を聞きながら、その素晴らしい人生は、決して一人で成し遂げたものではなく、どこかにヨーグルトのような「ささえる存在」があったのではないでしょうか。

そしてそれに気づいているからこそ、私たちを感動させる料理を生みだす力になっているはずです。

そんなシェフや料理人のみなさんにあらためて「ささえるもの」を言葉にしていただき、そのメッセージを発信いくのが新連載「わたしのささえるもの」です。

そのメッセージが読者のみなさんが前向きになれたり、頑張れたりする「心のエネルギー」になれば、それはまさにヨーグルトがもつWellness(よりよく生きようとする生活態度)と同じ効果になるはずです。

料理雑誌の編集・執筆をしていた経験から自分で料理を作って食べることも多い。最近はカレー作りにハマっている。エリックサウスの稲田俊輔さんのチキンビリヤニのレシピがお気に入り。鶏肉をスパイスでマリネする際にヨーグルトが使われる。ヨーグルトにキュウリなどの野菜を混ぜたインドの漬け物「ライタ」も知られるように、インド料理とヨーグルトの関係は深い。
料理雑誌の編集・執筆をしていた経験から自分で料理を作って食べることも多い。最近はカレー作りにハマっている。エリックサウスの稲田俊輔さんのチキンビリヤニのレシピがお気に入り。鶏肉をスパイスでマリネする際にヨーグルトが使われる。ヨーグルトにキュウリなどの野菜を混ぜたインドの漬け物「ライタ」も知られるように、インド料理とヨーグルトの関係は深い。

スペインとフランスで見てきたヨーグルト事情

先日は、コロナ禍が落ちついてきたこともあり、数年ぶりにスペインとフランスを10日間旅してきました。

もともと、現地の食事になじめる体質(というか胃?)なので、日本食が恋しくなったり出汁が恋しくなったりすることはあまりないのですが、ヨーグルトはどうしても食べたくなってしまいます。

そこで現地のスーパーマーケットに寄って、朝食用にヨーグルトをまとめ買い。旅では外食が多いので朝食は軽くすませたいというときにもヨーグルトはぴったり。今回も無事に旅先でおいしいものを食べ続けることができたのは、ヨーグルトの整腸効果が大きかったのではないかと思っています。

スペインの大型スーパー「EROSKI」のヨーグルト売り場。
スペインの大型スーパー「EROSKI」のヨーグルト売り場。
スペインで買ったヨーグルト。日本のヨーグルト製品のパッケージに比べて配色やデザインにヴァリエーションがある。
スペインで買ったヨーグルト。日本のヨーグルト製品のパッケージに比べて配色やデザインにヴァリエーションがある。

スペイン北部バスク地方発祥の全国チェーンスーパー「EROSKI」の大型店では、20mもありそうな大きな冷蔵ショーケースのなかはすべてヨーグルトでした。

しかも、バスク産のヨーグルトにはバスクの国旗のマークで仕分けされていて地産地消の意識の強さを感じます(もちろんスペインからの独立を目指す地域性も含まれていると思います)。

また、羊の乳で作ったヨーグルトもあったり、パッケージも牛のキャラクターが使われて工夫がされていたりと、日本のヨーグルト売り場とはかなり趣が違います。

フランスのスーパー「Intermarché」の乳製品コーナー。
フランスのスーパー「Intermarché」の乳製品コーナー。
フランスで購入したヨーグルト。右上はフレッシュチーズのフロマージュ・ブラン。
フランスで購入したヨーグルト。右上はフレッシュチーズのフロマージュ・ブラン。

南フランス・ニースにあったスーパーマーケット「Intermarché」の都市型の中規模店でもヨーグルト売り場は、かなり大きかったです。

スペイン・バスクの「EROSKI」に比べて、Bioやオーガニックと表記されたヨーグルトが多かったのが印象に残りました。

また、フランスのフレッシュチーズ「フロマージュ・ブラン」がヨーグルトと同じようなパッケージだったり、小分け連結パックになっていたりするのも興味深いものでした。

ヨーグルトに比べフロマージュ・ブランは口当たりがやや重たく、発酵の香りも強く感じました。食べ方はヨーグルトと同じで、フルーツやジャム、コンフィチュールを加えて食べるそうです。

パリの「Terroirs d'Avenir」にはオーガニック商品が並ぶ。
パリの「Terroirs d'Avenir」にはオーガニック商品が並ぶ。

パリでは、2012年に2区のニル通りにオープンしたオーガニック食材店「Terroirs d'avenir」で、バターやチーズなどとともにオーガニックのヨーグルトが売られていました。

乳の風味が強いわりに酸味が控えめで、日本では味わえない味の濃いヨーグルトでした。

ヨーグルト売り場だけでなく、さまざまな売り場を見て感じたのは、スペインとフランスともに、缶詰や瓶詰、ハムやソーセージなどの加工肉といった加工品売り場の面積が大きいこと。

冷凍食品売り場も日本で大きくなってきていますが、スペインやフランスで見たスーパーマーケットは、2割ほどの売り場面積を有していました。新鮮なものや生のものを好む日本との違いがあるかもしれません。

連載のなかでは、こういった海外でのヨーグルト体験などもシェフや料理人のみなさんに聞いてみたいと思っています。

記事を書いた人

江六前一郎
江六前一郎

千葉県八千代市生まれ。食の編集者。2012年から7年間、食の専門誌『料理王国』の編集部に在籍し、のべ400店以上の飲食店を取材した。副編集長も経験。2020年からフリーに。雑誌・web、地方自治体や企業のオウンドメディアの企画・編集・執筆を通して、レストラン体験の素晴らしさやシェフの個性や独創性を広く伝えることを目指す。

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