こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。
今回ご紹介する「カラバッシュ」は、浜松町にあるアフリカ料理の専門店だ。アフリカ料理は圧倒的多数の日本人にとって馴染みがない料理ジャンルだろう。

筆者もアフリカはエジプトとエチオピアしか行ったことがなく、それぞれ自国の料理を明確に確立しているため、他国の料理についてはイメージが浮かばない。
しかし、今回、日本で定評を勝ち得ているレストラン「カラバッシュ」に「ヨーグルトとふかした雑穀の粉を使ったスイーツがある」と聞いて関心が高まった次第だ。アフリカでもヨーグルトが食されているとは…。アフリカでヨーグルトがどのように使われるのか、興味津々だ。予約して足を運んだ。
結果として、完全に未体験の味に感動した。美味しくて、他の国の料理にはない味覚を楽しめる。世界の料理が好きな人、自身の味覚を広げたい人、料理で世界旅行気分を味わいたい人ならば、筆者と同じくヒットするだろう。
それでは、「カラバッシュ」の魅力を、お伝えしよう。
アフリカの食文化を日本に伝える「カラバッシュ」の魅力とは?

「カラバッシュ」はマリ、セネガル、コートジボアールを中心とするアフリカ料理の専門店である。50年以上も前からアフリカを愛する日本人のオーナーが営んでいるそうだ。
オーナーがアフリカを巡った中で、特に日本人の口に合うと感じたのが西アフリカの料理。それ故にマリ、セネガル、コートジボアールの料理を主軸とされている。サイトには、「アフリカの料理の中でも『極めつけ』のメニューをお楽しみいただけます」とあり、期待が高まる。
料理の全体的な特徴としては、野菜を多用しヘルシーで、程よくスパイシーである点だ。調理法としては煮込みが多い。インドのカレー料理のような見た目のものもあるが、香りと味わいは完全に別物。実際に頂いてみても、煮込み料理に真骨頂があると実感した。さらに、納豆など発酵調味料も使うところは新鮮な驚きであった。
なお、店名の「カラバッシュ」は「ひょうたん」のことだそうだ。ひょうたんはアフリカで人々の生活に馴染んでいる大切な資材。公式サイトの言葉を借りると「スプーン、柄杓からお玉、料理用や水入れのボール、装飾品、ミルク入れやチーズ容器、更には農業用具としての種や籾入れになったり、水遣りのバケツ代わりにもなります。 農耕民にとって楽しみな雑穀から作る地ビールの容器としても、重用されています」との談だ。そんなひょうたんをモチーフに、お店の天井や壁には様々なひょうたんが下げられている。


お店はビルの地下とは思えないほど広く、エキゾチックな内装がリゾートのような寛ぎを与えてくれる。

それでは、実際の料理のレポートをお届けしよう。
アフリカ納豆も登場!ヘルシーでほどよくスパイシーな「カラバッシュ」の料理を満喫
「カラバッシュ」で頂いた料理は以下のとおりだ。
- アカラ:700円
- ニェム:800円
- ぺぺスープ:700円
- スンバラライス with チキン:1,500円
- キャッサバリーヴズ・ステュ:1,500円
- デゲ:500円
- セルティア(ビール):500円
料理名だけ見てもチンプンカンプンだ。それでいてメニューは豊富なので、選ぶのに苦労した。これは機会を設けて再訪せねば…と思う、ワクワクするメニューリストである。

パンダ豆を挽いたペーストのフリッターで、西アフリカのストリートフードだそう。これは揚げた豆腐のような美味しさだ!おからのフライのようで、豆のコクがあって美味しい。自家製トマトソースとともに頂く。

甘味がありとろっとしたトマトソースで相性ピッタリだ。

牛ひき肉と野菜、春雨を用いた「西アフリカン春巻」との談。これは説明通りの料理で、クセが全く無く、日本人ならばほぼ全ての人が好きな味わいだろう。

打って変わって上記の前菜2品とは逆にマニア向けの料理だ。魚と野菜、ガーナ産唐辛子を煮込んだスープ。魚は恐らく淡水魚で、サイズ的にティラピアではないかと思われる。
淡水魚のコクが滲み出たスープで、野菜はトロトロ。淡水魚らしい香りがあり、これはかなり「現地感」を感じられる。野菜の甘味が滲み出ているのて、野菜の甘味と唐辛子の辛味を楽しむ個性的なスープだ。
メニューには「激烈な辛さ」と記載されているが、辛味耐性がある人ならば10段階評価で5〜6程度の辛さではないかと感じた。唐辛子は辛味だけでなく特徴的な香りもある。唐辛子で香りを意識する人は少ないかもしれないが、筆者は辛味だけでなく香りと旨味も重要な要素だと考えている。

納豆を使用しているとの表記を見て、悩むこと無く頼んだ。使用されている納豆は、かなり小粒の豆で作られている。香りあるいは臭いは大丈夫か?と気になるかもしれないが、乾燥させた納豆がほんのりと香り、嫌らしくなくむしろ食欲をそそる香りだ。ハーブの香りも爽やかに調和している。
チキンと野菜の炒め煮のような付け合わせは、野菜の甘味とトマトのコクで素朴に美味しい煮込みである。

燻製魚と肉のスープで煮込んだキャッサバに、ピーナッツペーストを使用したシチューとのこと。燻製の香りにキャッサバの香りが青々しくて爽快である!
キャッサバはお茶の葉のような良い香りだ。個人的に、スンバラライスとこのシチューを合わせたら最高の組み合わせになりそうだと感じた。各々、記憶に鮮烈に焼き付いた次第だ。

大トリを務めるのはヨーグルトのデザート、デゲだ。これはふかした雑穀の粉をヨーグルトとクリームで和えて冷やしたスイーツだそう。
味の想像がつかなかったが、実際にはヨーグルトの酸味とクリームのコクが合わさった爽やか系のスイーツである。使用されている穀物の香りが個性的で、他のあらゆるヨーグルトスイーツにない味わいだ。
甘味や穀物の重たさは予想外に抑え目であった(暑い国のスイーツは往々にして激甘なことが多く、また、メニューに「軽食としても食べられる」と書いてあったので量も懸念した次第だ)。付け合わせは缶詰の半冷凍のパイナップル。

チュニジアのラガービールだ。これは過去にパレスチナ料理店「ビサン」でも頂いたことがあるが、クセがなく美味しいビールである。セネガル、ガーナ、ナイジェリア、ケニアなど他アフリカ諸国のビールもメニューにはあるが、敢え無く在庫が無かった。流石に流通の問題でどれに出会えるかどうかは運次第なのかもしれない。
「カラバッシュ」の料理は全てにおいて未体験の味で、口に運ぶまで予想がつかない。これは滅多にできない貴重な体験ないだろうか?インド料理であれば味の予想がなんとなくつくし、私も多数紹介している中東料理も今や大体のイメージはつくところだ。
しかし、アフリカ料理は行ったことが無い限りイメージがつかないし、行ったことがある人も少ないだろう。未体験の味覚は、他で得られないイマジネーションやインスピレーションを与えてくれるものである。
カラバッシュ
住所:東京都港区浜松町2-10-1 浜松町ビルB1F
電話番号:03-3433-0884
予約可否:予約可
営業時間:平日11:30~14:00(L.O. 13:30)/土17:30~22:00(L.O.21:00)
定休日:日曜、祝日
お店の公式サイト
https://www.calabash.co.jp/
※週末(金・土曜日)は、ライブが多く、チャージが別途必要になる場合があります。詳しくはお店の公式サイトでご確認ください。
※土曜日のランチは事前の予約制になります。(合計4名様)
※ディナーのご予約は、当日の14:00までにお願いいたします。
※土曜日のディナーのご予約のみ、前日の14:00までにお願いいたします。