こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。
今回ご紹介する「三燈舎(SANTOSHAM)」は、神保町にある南インド料理のレストランである。南インド料理の中でもケララ州の料理を得意としており、アルファベット店名の“SANTOSHAM”はケララ地方の公用語マラヤーラム語で「幸せ」を意味するそうだ。
お店は人気ドラマ「孤独のグルメ」に紹介された事で人気が高まったが、「ガチインド」が好きな方の評価も高く、2019年5月のオープン以来、幅広いお客さんの心をつかんでいる。
WEB上のレビューを見ると圧倒的多数の方が、ランチの「ミールス(南インド定食)」を目当てに訪問しているが、私は「実力派インド料理店の真骨頂はアラカルトにあり!」と言う信念を持っているため、ディナーに訪問した。
結果的に大正解。「ミールス」も大変美味しいが、アラカルトで頂けるカレーにお店の個性が集約されていると実感した。
そして、素晴らしい!と心から感じたのが、お店自家製のヨーグルトだ。
辛味やコクが強いこちらのカレーとの相性が抜群なので、メニューには書いていないが是非とも頼んで欲しい。
それでは、「三燈舎(SANTOSHAM)」の魅力を、お伝えしよう。
南インド・ケララ州の味!「三燈舎(SANTOSHAM)」の特徴とは?
「三燈舎(SANTOSHAM)」のシェフ、トーマスさんは南インド・ケララ州の出身だ。
そして、タミル・ナードゥ州の州都チェンナイの5つ星ホテル「サザンスパイス」で研鑽を積む。
その後、来日されて、新宿の「アショカ」や八重洲の今は無き名店「ダバインディア」で本場のインド料理を提供されてきた。…要は、腕利きのシェフである。
ちなみに、オーナーは日本人女性で、「ダバインディア」の系列店「カイバル」でサービススタッフとして6年勤められたキャリアがあり、トーマスシェフとは信頼関係があるとの談だ。 お二人で「三燈舎(SANTOSHAM)」を開かれた背景には、「南インド・ケララ州の味を提供したい」と言う想いがあるそうだ。
お店が得意とするのは、南インドの大衆的な料理である「ミールス(南インド定食)」と「ティファン(軽食)」だ。
そして、今回アラカルトで頂いた結果、アラカルトのカレーは「ミールス」とは大きく異なり、コクが非常に強いリッチなテイストだと感じた。
ケララ州をはじめとする南インドでは水分の多いシャバシャバしたカレーが主体で、それをお米と混ぜて頂くのがオーソドックスなスタイルである。「ミールス」に付いてくるグレイビーは、この手のカレーが多い。
しかし、今回頂いた料理は「ミールス」よりもパンチがあり、一部は北インド料理のような重厚感があるものもあった。故に、多くの日本人が好む味わいである、と確信した。
それでは、実際の料理のレポートをお届けしよう。
「三燈舎(SANTOSHAM)」のお料理を紹介!
「三燈舎(SANTOSHAM)」でいただいた料理は下記のとおりだ。
- ビーフフライ:820円
- 国産レモンのアチャール:250円
- 自家製ヨーグルト:100円
- 海老カレー、バナナの葉包み:1,300円
- 魚カレー、アレッピーマサラ:1,120円
- マトンカレー、チェティナードマサラ:1,420円
- バスマティライス(Mサイズ):360円
- ゴッドファーザー(インドビール):680円
- インドワイン、ヴィオニエ:700円
暑い夏の日だったので、「ゴッドファーザー(インドビール)」を頼みつつ、ビールに最適なスナックを頼んだ。
フェンネルなどのスパイスの香りと、黒胡椒の香りと辛味が鮮烈!インパクトがある味わいで、抜群に旨い!
味覚的に甘・辛・酸の複雑なコンビネーションが魅力で、特に甘味の効かせ方が巧みだ。辛くとも後を引く。
そして、フライドカレーリーフも実に良い香りだ!カレーリーフの香ばしい苦味が他のスパイスや味付けと調和する。
実に爽やかな香りのアチャール(インドのピクルス)だ。
付け合わせのフライドバナナと香りも味もピッタリで、これまた良いスナック!
マスタードシードの香りが効いていて、酸味以外にレモンの皮由来の苦味も爽快だ。
カレーに備えて頼んだバスマティライス。カレーを2種類以上頼む場合には【Mサイズ】がマストと言える。お米が水のように消えていくので…
そして、忘れてはならないのが「自家製ヨーグルト」だ。特にコクの強いカレーを頼む場合は、オプションとして追加するべし。
メニューには記載がないが「カトリ(小皿)で自家製ヨーグルトをください」と伝えてほしい。
濃密で酸味が効いた美味しいヨーグルトで、辛いカレーといただくと辛さが緩衝されて、スパイスなどの香りが感じやすくなる。
また「ビーフフライ」が辛い!と思った方もヨーグルトと合わせると食べられるようになるはずだ。
こちらがお店の自信作のようで、メニューリストのトップにある。
「当店名物・数量限定」との事なので、入店時にお取り置きをお願いした。
結果的に海老の旨味がたっぷりと出ていて、油脂が多めのヘヴィかつリッチなカレーであった。北インドの【バターチキンカレー】が好きな人なら高確率でハマる味わいだろう。
現地購入の希少なスパイスであるカルパシやマラティムクを使用しているそう。強烈な旨味とスパイスが複雑に絡まり、一口一口が旨いグレイビーだ。
これと「自家製ヨーグルト」の相性は抜群。カレーに酸味が加わることで他の味覚やスパイスの輪郭がハッキリする。
カレーに好みの量のヨーグルトをかけて、混ぜて食べるのがおススメである。
「南インド人の大好物!」とのこと。
ヨーグルトとタマリンドのダブルの酸味が効いている。
こちらはシャバシャバなカレーで、南インドのフィッシュカレーで王道ともいえるココナッツミルクは非常に控えめ。
タマリンド由来の酸味は穏やかで、ヨーグルトを活かすブレンドだと感じた。
ヨーグルトの酸味だけでなく香りもストレートに活きていて、爽やか!シンプルに美味しい。
こちらはダイニングバーのように使えるインド料理店なので、お酒はセンス良く色々と揃えている。
ヴィオニエ(インドワイン)は、樽感、熟成感があり、スパイスを受け止めてくれるワイン。インドワイン以外にも自然派ワインを置かれていて、しかも非常に良心的な価格である。
結論として、他店とは明らかに異なるカレーをいただける優良店であると感じた。
店内の雰囲気も良く、少しコンパクトなお店ながら大変くつろげる。
アドバイスとしては3点ある。
- 夜は2人で訪問すべし
- コクが強いカレーは1種類に留めるべし
- カレーを3品頼む場合にはカレーの間に時間差を作るべし(一度に頼むと一気に届くため)
これら3点をクリアすると、筆者以上の満足感を抱いていただけることを保証する。
三燈舎
住所:東京都千代田区神田小川町3-2 古室ビル2階
電話番号:050-3697-2547
予約可否:予約可 ※夜は予約が望ましい
営業時間:11:00-15:30(LO 15:00)、17:30–22:00(LO 21:00)
定休日:月曜
お店の公式サイト
https://santosham.tokyo