こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。
今回ご紹介する「黒猫茶房」は、カレー作りのためにヨーグルトを自家製する喫茶店だ。
お店はかつて「ガネーシャ」と言う名前で吉祥寺ハモニカ横丁にあり、鮮烈な個性を放っていた。2000年代にハモニカ横丁を通ったことのある人ならば、看板を見たら「あそこか~!」と思われるだろう。(移転前の参考情報:https://tabelog.com/tokyo/A1320/A132001/13010355/)
筆者は「ガネーシャ」に何度か訪問しており、怪しい・狭い・美味しいの三位一体攻撃に心を奪われた。しかし、阿佐ヶ谷に移転されて「怪しい」が無くなり、素敵な喫茶店へと生まれ変わっている。

怪しい・狭い・美味しい「ガネーシャ」が、小体で素敵な喫茶店「黒猫茶房」へ変貌

「黒猫茶房」を語る前に、まず前身の「ガネーシャ」について紹介させてほしい。
2000年、吉祥寺ハモニカ横丁に誕生した同店は、2席+3席の短いL字カウンターの構えで、店内にある調理器具はコンロと炊飯器のみだった。
いかにもインドを思わせる内装と相まって、実に吉祥寺的、実にハモニカ横丁的なディープなお店だった。筆者が若かりし頃、雰囲気も大事な味だと学ばせていただいたお店の一つである。
「ガネーシャ」は2012年5月までハモニカ横丁で営業された後、同年9月に阿佐ヶ谷に移転。店名を「黒猫茶房」に変えて復活した。
筆者は2010年まで中央線住民だったが、都心に引っ越したため「黒猫茶房」への訪問は2026年3月とずいぶん遅くなってしまった。しかし、ご主人にお話をお伝えしたところ訪問を大いに喜んでくださった。
「黒猫茶房」のご主人はヒゲを伸ばしておられ、見た目はちょっととっつきにくいように感じるかもしれない。しかし、実際には非常に優しくて丁寧な方なので、臆さずともOKだ。カレーのためにヨーグルトを作る人は珍しいので、気になる方は話を振ってみて欲しい。
「黒猫茶房」のカレーは、食後感が実に軽く、それでいて記憶に残る味わいだ。それはきっと、たっぷり使ったヨーグルトに秘密がありそうだ。それでは、実際の料理のレポートをお届けしよう。
後味は軽く、余韻は長い。「黒猫茶房」の世界観と料理とは?
「黒猫茶房」のカレーはチキンと野菜の2種類のみなので、メニュー選びに迷うことはないだろう。

反対に、コーヒーのメニューは多数あるので、こちらは事前に考えておくと良いかもしれない。コーヒーも格別の味わいなので、個人的にはセットで注文することを強くオススメする。

この度、「黒猫茶房」でいただいた料理は以下のとおりだ。
- チキンカリーセット:1,600円
- 季節の野菜カリーセット:1,600円
「セット」はドリンクの価格が100円引きになる。この日は【ノワール】と【オ・レ・グラッセ】をお願いした。

まずは、多種多様で可愛らしく盛り付けられたサラダ。カレーの前に提供されるのが嬉しい。自家製フレンチドレッシングが重たすぎず爽やかな味わい。

チキンカリーには、ホールスパイスとパウダースパイスがたっぷりと使用されている。スパイスをゴリゴリに効かせる方向性ではなく、油脂や塩味も軽やかで上品な方向性。それでいて後を引く。

チキンはムネ肉を使用しており、ホロホロと繊維がほどける。グレイビーの辛味は「ほんのりピリ辛」程度で、チリペッパーよりもブラックペッパーを使っている印象だ。そして、ヨーグルトとトマトの酸味が効いていて、酸味の表現において唯一無二のチキンカレーである。
おそらくこの酸味を表現するためにご主人はヨーグルトを自家製されているのだろう。いただいた後に「健康に良さそうだな~」としみじみ感じるグレイビーで、毎日の朝ごはんに食べたいチキンカレーだ。

季節の野菜カリーは、野菜の甘味にヨーグルトの上品な酸味が効いている。チキンカリーとは全く異なる味わいだ。

野菜の甘味が出たまろやかな味わいながら、ヨーグルトでさらりと清涼感を加えているのが魅力だ。こちらもホールスパイスを多めに使っていて、クミンやコリアンダーなどの香りが印象的。
野菜はカリフラワーやじゃがいもを使用している。特にカリフラワーの食感が特徴的で、トロトロながらしゃっきりした食感を感じさせる火入れで、絶妙である。

コーヒーは香りが良く、キレのある苦味で余韻が長い。「美味しくお飲みいただくために低めの温度」で提供されているそうだが、まさに。カレーの後にまろやかに楽しめて実に良い温度帯だ。

あくまでもコーヒーの味わいを楽しませようという意図を感じるオ・レ・グラッセだ。ミルクには甘味が付けられているが上品で、コーヒーと自然に調和する。美しい見た目とともに、苦味が強いコーヒーが苦手な人は選択肢にぜひ。
「黒猫茶房」は移転前からずいぶんと可愛らしい意匠になったが、小宇宙的な雰囲気を残すためか、カウンターは4席、小上がり2~4席(4席使うと結構満杯になりそうだ)ほどのこぢんまりとしたお店だ。なので、買い物の後よりも前に、そして、ファッションは軽装で訪問することをオススメする。
黒猫茶房
電話番号:03-3337-7202
予約可否:2名から可能とのこと
住所:東京都杉並区阿佐谷北2-4-2
営業時間:水~土11:30~20:00(L.O. 19:00)、
日11:30~19:00(L.O. 18:00)
定休日:月曜、火曜
公式サイト:
https://www.starroad.tokyo/shop/kuronekosabou/

