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日本に根差して60余年。麹町 「アジャンタ(AJANTA)」で味わう3種類の自家製ヨーグルトカレー

外で食べる 2024.09.20

日本に根差して60余年。麹町 「アジャンタ(AJANTA)」で味わう3種類の自家製ヨーグルトカレー

こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。

今回ご紹介する「アジャンタ(AJANTA)」は、麹町にある本格インド料理レストランだ。こちらはカレー好きでなくても知っている人が多い、名店中の名店だろう。昔から「日本人向けにアレンジしていない本場の味」である「純インド料理」にこだわり、本格的なスパイス使いと日本人に媚びない辛さのカレーで定評を博してきた。

本格インド料理レストラン アジャンタ

ところで、お店自体は言わずと知れた老舗だが、ヨーグルトのカレーが複数あることはご存知だろうか?

恐らく「アジャンタ」でヨーグルトを意識している方は稀有だろう。なにせ今回お店で「ヨーグルトのカレーを全部頼みたい」と伝えたところ、お店のインド人スタッフが「ヨーグルトのカレーはありません」とピシャリと答えられたほどだ。

筆者はヨーグルトのカレーを求めて訪問したので一瞬意識が飛びそうになりながら「いや、あるはずです。少なくともスペシャリテのチキンカレーはヨーグルトカレーではないでしょうか…?」とかすれそうな声で尋ねたところ「シェフに確認してきます」とのこと。

ドキドキしながら待っていたら、事前のリサーチ通り3種類あり、心から安堵した。その上で自家製ヨーグルトのライタも頼んだところ、抜群に美味しくて感動した。

ハッキリ言って、過去に何も知識がない状態で訪問した時よりも遥かに美味しかった。やはり然るべきカレーを頼み、ライタと頂くのが大正解だ。お店のポテンシャルを引き出すべく、本記事がご参考になれば幸甚である。

それでは、「アジャンタ」の魅力を、お伝えしよう。

受け継がれるムールティー家伝の味とは?「アジャンタ」のスペシャリテ誕生秘話

まずは、老舗なのでお店の歴史にさらりと触れたい。「アジャンタ」の創業は1957年だ。創業地は阿佐ヶ谷で、「カレーと珈琲の店・アジャンタ」として始まったそうだが、公式サイトによると「当時、東京でインドの本場のカレーが食べられる店は、新宿の中村屋と数は少なく、アジャンタのチキンカレーも瞬く間に人気を得る」との談である。

振り返ると、以前に紹介した「銀座デリー」が1956年の創業で、「新宿中村屋」は1901年に創業し、1927年に「日本で初めてのインドカリー」を提供した。「アジャンタ」も日本のカレー史の中で言及を避けられない名店だ。

そして、面白いことに「アジャンタ」の創業者ジャヤ・ムールティー氏は、兄のラーマ・ムールティー氏(貿易会社を経営)とともにマハトマ・ガンジーの反英非協力運動、インド独立運動に参加されていたそうだ。つまり、「新宿中村屋」のラス・ビハリ・ボース氏と同様に革命家である。革命家たちによって日本のカレー文化が深化していったというのは興味深い。

現在スペシャリテとなっている「ムルティー家のカレー」であり「創業カレー」である【チキンカレー】は1947年に誕生した。その年にジャヤ・ムールティー氏は坂井淳子氏(後にスジャータと改名)と結婚されたのだが、その時は料理人ではなく電気技師として日本の会社に勤務されていたそうだ。

しかし、ある日手に入れた1羽の鶏を用いて実家に伝わるチキンカレーを振る舞ったところ、淳子婦人は未体験の味に衝撃を覚えたそうだ。そして、「日本に無いスパイスが入ったカレーを沢山の人たちに食べて欲しい」との願いで「カレーと珈琲の店・アジャンタ」が誕生し、現在に至る。このようなエピソードがあるために「ムルティー家のカレー」を冠しているのだ。

それでは、実際の料理のレポートをお届けしよう。

自家製ヨーグルトを使ったカレーは3種類。ライタもマストオーダー!

本格インド料理レストラン アジャンタ カレー

「アジャンタ」で頂いた料理は以下のとおりだ。なお、下記の価格は単品価格となっており、ランチには非常にリーズナブルな【2種類のカレーランチ】1,650円を提供されている。このランチメニューでは好きなカレーを選べる。よって、初めて訪問される方はランチがオススメだ。

  • チキンカレー:1,815円【自家製ヨーグルト使用】
  • キーマ マター:1,815円【自家製ヨーグルト使用】
  • マトンカレー:2,035円【自家製ヨーグルト使用】
  • AJANTA フィッシュカレー:1,815円
  • ライタ:ランチ380円・ディナー550円【自家製ヨーグルト使用】
  • ラッサムスープ:ランチ400円・ディナー660円
本格インド料理レストラン アジャンタ メニュー

以下が3種類のヨーグルトカレーだ。

上から時計回りに、マトンカレー・キーマ マター・チキンカレー
上から時計回りに、マトンカレー・キーマ マター・チキンカレー

そして、ライタは絶対に頼むべきオプションだ。なぜなら、お店のカレーとの相性が最高だから。玉ねぎとキュウリがごろごろ入っていて、正にサラダ仕様のライタ。ヨーグルト自体はコクがあり、上品な酸味。

ライタ
ライタ

玉ねぎとキュウリがごろごろ入っていて、正にサラダ仕様のライタ。ヨーグルト自体はコクがあり、上品な酸味。

現地風にライタをご飯にかけてみた
現地風にライタをご飯にかけてみた

ライタは、この後ご紹介するキーマカレーとマトンカレーとの相性が特に抜群である。美味しさの幅を広げてくれる。「アジャンタ」の真骨頂を知るには、「ムルティー家のカレー」とライタを頼むのが正解だ。

チキンカレー
チキンカレー

辛味がしっかりと効いていて、コクが強いチキンカレーだ。容赦ない辛さだが、旨味がありスパイスも複雑なので非常に美味しい。辛さの奥からヨーグルトの酸味が爽やかにふわりと漂う。

スパイスは、特にクローブの香りが強い。チキンはホロホロ。定番であり王道、非常に美味しいチキンカレーである。

キーマ マター
キーマ マター

カルダモンがしっかりと効いていて爽快な香りが印象的…と思いきや、キーマとは思えないほどに辛口で衝撃!それでいてコクも強く、中毒性がある味わいだ。ヨーグルトも奏功しているのだろう。非常に個性的な激辛キーマカレーである。

マトンカレー
マトンカレー

「AJANTAの真髄」との謳い文句なので、チキンカレーを超える裏のスペシャリテなのではないだろうか。

「真髄」の名に恥じぬリッチな味わいで、味も香りも重厚感があり非常に美味しい。マトンカレーとして旨味が極めて強い!マトンはホロホロなだけでなくゼラチン質のねっちり感もあり、味わいだけでなくマトンの扱いでも素晴らしいマトンカレーである。

AJANTA フィッシュカレー
AJANTA フィッシュカレー

ココナッツミルクを使用していて、まろやかな味わい。スパイス使いが個性的で、カスリメティとフェヌグリークを強めに感じ、カレーリーフも香ばしく漂う。

ライス
ライス

ナンとライスを選べるが、筆者はライス一択である。

ラッサムスープ
ラッサムスープ

タマリンドの酸味が強く、辛味もバシッと効いていて、これぞラッサム!ガーリックもしっかりと感じ、豆は残滓無くサラサラ。すっきりな方向性のラッサムだ。

辛口の玉ねぎのアチャールと甘みのあるチャツネ

卓上には辛口の玉ねぎのアチャールと甘みのあるチャツネが置かれている。これらで好みの味に調整することが可能だ。

老舗の実力を体感する訪問となった。特にヨーグルトを使用している3種類のカレーは傑作である。筆者は数え切れないほどのカレーを食べてきたが、アジャンタのヨーグルトカレーは掛け値なしの傑作だと断言する。

大人気店なので、訪問の際には予約するのがベストだ。

アジャンタ

住所:東京都千代田区二番町3-11
電話番号:03-3264-6955
予約可否:予約可
営業時間:
月〜土 10:00〜22:30(L.O. 22:00)
日・祝 10:00〜21:30(L.O. 21:00)
定休日:無休
お店の公式サイト
https://www.ajanta.com/

記事を書いた人

大谷悠也
大谷悠也

鮨研究家、文筆家、ブロガー。鮨の人気を高めるべく「すしログ」を運営し、全国を精力的に回る。鮨に限らず、旺盛な食欲と好奇心を腹に、日本国内外で6,000軒以上の飲食店を訪問。市場や生産者、醸造家のもとに足を運び、自ら調理も行う。

すしログ
https://sushi-blog.com/

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