ごあいさつ
こんにちは、ヨーグルトマニアの向井智香(むかいちか)です。
前回の記事では、ヨーグルトにハマったきっかけから、その「好き」が仕事になるまでの経緯をお話ししました。
今回の記事はその続編。
ヨーグルトサミットをきっかけに見えてきた課題から、現在は何を目指して活動をしているのかをお話しさせてください。
活動の転機はヨーグルトサミット
2018年に茨城県小美玉市で初開催されたヨーグルトサミット。
その後、第2回は岡山県真庭市、第3回は岩手県へと受け継がれてゆきます。


ヨーグルトサミットは物産展などの商業的側面だけでなく、メーカー同士の交流研鑽の場であることに大きな意義があるイベントでした。
全国から集まった酪農・乳業・自治体の方々と繋がることで、向井は消費者の立場では見えていなかった様々な課題に気づくことになります。

酪農を知る
ヨーグルトサミットのご縁から、一般の牧場さんにお邪魔させていただく機会を得ました。
乳製品のパッケージなどから、【酪農=草原で放牧】といったイメージを持たれる方も少なくないと聞きますが、日本の牛さんの多くは牛舎の中で飼育されています。

1日2回のベッドメイキング、成長ステージ別に栄養バランスを考えて準備された食事、かゆいところを掻いてくれるタワシのような機械、一頭一頭の健康管理ができる万歩計のようなアクセサリー。
知らなかった暮らしがたくさん見えてきました。
牧場ごとに様々なスタイルがあり、牛さんの雰囲気も牧場ごとに違って微笑ましく感じたり。
そんな個々の牧場のお乳も、製品になるときには他の無数の牧場のものと混ぜ合わせられ、良くも悪くも平均化された味になります。
これを寂しく思った酪農家さんが「うちだけの味を」と乳製品の製造・販売に乗り出すことが、いわゆる6次産業化。
こうして生まれたご当地ヨーグルトも少なくありません。
そんな商品の背景を知るうちに、ヨーグルトのパッケージに書かれる「生乳」の文字の重さにどんどんと惹かれていきました。
作り手の言葉は伝わっているのか?
ところがある日、SNSで「生乳100%」と発信すると「それは濃そうですね!」とコメントがつき、ハッとしました。
生乳を原料としていることの意味がそもそも理解されていなかった!
乳業メーカーさんが当たり前にパッケージに書いている言葉、一体どれほど伝わっているのでしょうか。
よくよく見回してみると、スーパーで売られているヨーグルトの多くは「菌の機能」を謳うもので、乳の魅力は積極的には語られていません。
乳の栄養価や味わいの豊かさは、それはそれは素晴らしいものですが、ことヨーグルトにおいては後回しにされてしまっているのです。
もちろん菌はヨーグルトを語る上で欠かせない魅力の1つですが、その付加価値が大きく語られる中で一次産業の存在感が薄れていくことに寂しさを覚えました。
乳の持つ魅力を、みんなに伝わる言葉で発信しなくては。
課題解決に向けて
まず力を入れたのがメディア露出。
「ヨーグルトマニア」というカジュアルな肩書きでテレビやラジオに多数取り上げていただき、サブカル的な立場からヨーグルトの魅力を語っていきました。
次のステージは書籍。
腸活本でもなく、レシピ本でもなく、ヨーグルトを図鑑のように楽しむ『ヨーグルトの本』を上梓。
メーカーさんの歴史や商品の味わいをめいっぱい語りました。

こうしてありがたくも「ヨーグルトの人」として認知を得るようになったら、今度はリアルイベントです。
ヨーグルトをさらに楽しんでもらうための場をご提供すべく、講座に立ったり、ヨーグルトのコース料理を堪能できるオフ会を企画したり。


ご当地メーカーが連携して乳の魅力を発信
こんな活動を経て、現在メインで取り組んでいるのが「ヨグネット」の設立。
全国のご当地ヨーグルトのメーカーさんや自治体、関連企業の方々をオンラインでつなぐネットワークです。

これを法人化し、共同でPR活動を行う団体として確立することで、「ご当地ヨーグルト」のカテゴリー認知を拡大し、今後のヨーグルトサミットの運営母体として機能させることを目論んでいます。
コロナ禍を経て、ご当地ヨーグルトは販売チャネルの拡大が余儀なくされています。
しかしながらスーパーに並ぶと目立ってしまうのが大手商品との価格差。
その差にどんな価値があるのかを理解していただくためには、1商品、1メーカーさんの発信だけでは不十分です。
「ご当地ヨーグルト」として乳の魅力や地域性の楽しみ方をアピールしていくことで、大手商品とは別軸のニーズを築く必要があります。
そして同時に、ご当地ヨーグルトとして複数の商品が並んだ際には、各社独自の訴求ポイントを見出していかねばなりません。
団結しろといったり、個性を見せろといったり。
複雑な課題ですが、大きなやりがいを感じています。
今後の記事について
そんなわけで向井は以下3種のカテゴリーで記事を書かせていただく予定です。
①ご当地ヨーグルトに関する発信
全国各地の牧場・乳業メーカー様をめぐってご紹介。
②おすすめヨーグルト紹介
ヨーグルトマニアとして積み重ねてきた知識をふんだんに活用し、流行や季節に合わせたたくさんの商品をご紹介。
③イベント告知など
ヨグネットや向井個人で活動を行う際のお知らせなど。
これから、ヨーグルトの魅力をいろいろな角度で紹介していきます。
読者の皆様が、ヨーグルトの新しい楽しみ方を見つけるきっかけになるようがんばります。
長文の自己紹介にお付き合いありがとうございました!!
イベントのご案内

第一回 我楽田工房×ヨーグルト専門家 向井智香
〜オラングラノーラと全国ご当地ヨーグルト食べ比べ会〜
クラファンで大人気!国産大麦をつかった「オラングラノーラ」とのコラボイベントを開催します!
オラングラノーラに合うおすすめのご当地ヨーグルトを複数ご用意。
自由に組み合わせてお試しいただける食べ比べイベントです。
オラングラノーラの開発秘話やご当地ヨーグルトの入門トークを通し、地域の農業・酪農・乳業について学びながら交流できます。
おひとり様でも、グループでもOK。どうぞお気軽にお申し込みください!
概要
日時:2023年4月23日(日)14時〜16時
場所:我楽田工房(東京都文京区関口1-29-6,1F)
定員:15名 ※予約先着順
参加費:
①一般:3,500円
②オラングラノーラをクラファンで応援された方:無料
お申込み方法
下記Peatixのイベントページより参加チケットをご購入ください
https://oranyogurt.peatix.com/
記事を書いた人

大手からご当地まで日本中のヨーグルトをレビューするヨーグルトマニア。各地の牧場や工場を巡って酪農・乳業を学び、講演会やワークショップなどを通してヨーグルトのファンづくりに励む。「ヨグネット」代表。
ヨーグルトの本(2022年/MdN)
https://books.mdn.co.jp/books/3221403035/
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