肉や魚をヨーグルトに漬け込んでから調理をすると、ジューシーに仕上がり、うまみもアップすると聞いたことはありませんか?
その理由となるのが、ヨーグルトに含まれる乳酸菌とたんぱく質です。乳酸菌やたんぱく質が、うまみやジューシーさにどのように影響するのかを、解説します。
ヨーグルトで漬け込むとうまみがアップする理由
調理前にヨーグルトに漬け込むと、肉や魚のうまみがアップするのは、ヨーグルトの乳酸菌の働きによりたんぱく質が分解されて、アミノ酸系のうまみ成分である「グルタミン酸」が増加するためです。
ヨーグルトに肉や魚を漬け込むと、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が、たんぱく質を分解する働きをもつ酵素「プロテアーゼ」を作り出します。
このプロテアーゼが、肉や魚のたんぱく質を分解してくれるため、グルタミン酸が増加します。結果として、肉や魚のうまみがアップする、というメカニズムです。またプロテアーゼがたんぱく質を分解することで、柔らかい食感も生まれます。
肉や魚には、もともと核酸系のうまみ成分「イノシン酸」が多く含まれています。
うまみ成分は、単体で使用するよりもアミノ酸系と核酸系の2種類をかけ合わせた方が強くなる特徴があります。ヨーグルトによって作られたアミノ酸系のグルタミン酸と、もともと含まれる核酸系のイノシン酸の相乗効果が生まれ、うまみがアップするのです。
ヨーグルトで漬け込むとジューシーさがアップする理由
肉を焼くとパサついた食感になるのは、肉の中にある水分が外へ流れ出てしまうから。
肉の中にある水分を保つ仕組みを「保水性」といいますが、これに影響を与えるのが食材のPH値で、保水性がもっとも低くなるのが、PH値が5のときです。
ヨーグルトを加えることで、酸性度合いが高まる(PH値が変わる)ため、保水性が高まります。
また、ジューシーさには、ヨーグルトに含まれる乳酸も影響します。ヨーグルトに漬け込むと、筋肉線をつなぐ膜が乳酸によって溶かされて、繊維にすき間ができます。すると、間に肉汁が浸透するため、ジューシーさが更にアップするのです。
このように、肉や魚をヨーグルトに漬け込んでから調理をすると、ヨーグルトのたんぱく質により肉の保水性が高まり、ジューシーな食感になります。
肉や魚を調理前にヨーグルトに漬け込んで、うまみとジューシーさがアップした料理をお楽しみくださいね。