こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。
今回ご紹介する「四次元食堂」は、高田馬場にある南インド料理のレストランである。
知名度は必ずしも高くないかも知れないが、スパイス好き、ビリヤニ好きならば足を運ぶ価値がある。
特に期間限定で作られるビリヤニは唯一無二の個性があるものばかりで、同様に個性的なカレー各種とヨーグルトとともに頂くことで無限の楽しみ方ができる。
自分好みの味を作り上げる楽しみがあるのが、「四次元食堂」のビリヤニだ。
それでは、「四次元食堂」の魅力を、お伝えしよう。
ヘルシーかつスパイシー!「四次元食堂」の特徴とは?
「四次元食堂」は、南インド料理店でありながら南インド料理の枠を超えて、一味違った食体験を提供するスパイス食堂である。
ワインに合う酒肴を供するため「スパイスバル」と形容しても良いかも知れない。
オーナーシェフの林さんはイタリアンの料理人であったところ、スパイス料理に惹かれて「エリックサウス」にて研鑽を積む。
そして、2020年10月に「四次元食堂」をオープンした。
「四次元食堂」のコンセプトは「南インド料理」と「世界」とのことだ。
一風変わった店名にご主人の料理哲学が凝縮されていて、「国境や時代を超越した四次元にありそうな食堂」を目指しているそうだ。
実際にこちらでしか頂けない料理の数々に、訪れる人は心が揺さぶられるだろう。
ランチタイムには、南インドの伝統的な料理を「四次元食堂」スタイルでアレンジし、「食堂」らしい「定食」の形式で提供する。
ランチも魅力的であるものの、筆者のイチオシはディナータイムだ。
なにせ多種多様な食材や創作的な料理をアラカルトで味わえる。そして、ワインと共に頂くのが楽しい。
メニューの一例を挙げると「牡蠣のバルチャオ(インド・ゴア地方のマリネ)」「くるみと無花果と豚肉のテリーヌ」「ベトナム風焼きナスサラダ」など多岐に渡る。
南インド料理をベースにした料理は、塩気も油脂も上品に計算されていて、ヘルシーかつスパイシーだ。
そして、「四次元食堂」で忘れてはならないのがビリヤニである。
お店の公式サイトで推されてはいないものの、頂いてみてオーダーは必須だと感じた。
鮎やサンマ、鴨と言った日本の食材を用いたビリヤニは否応なしに食欲をそそられる。
サイトには載っていなくとも、お店の公式X(Twitter)では定期的にビリヤニのツイートをされていて、結構な人気を誇っている。
予約しなければ売り切れる日もあるので、訪問時にはDMもしくはLINEで予約(取り置き)のご連絡をすることをオススメする。
それでは、実際の料理のレポートをお届けしよう。是非とも四次元の扉を開き、未知の体験へと足を踏み出して欲しい。
シェフのアレンジが冴える!「四次元食堂」のお料理を紹介!
「四次元食堂」で頂いた料理は下記のとおりだ。
- 前菜盛り合わせ:800円
- 鹿のマサラソーセージ:800円
- 鹿カバブ:900円
- カヴァ・ロゼ:600円
- 限定ビリヤニ「合鴨とネギのビリヤニ」:時価
- サバのカレー(ビリヤニに追加): 300円
- エッグアチャール:200円
- カヴァ・ロゼ:600円
- ティント・オーガニック(ヴェルデホ):600円
- ロゴダジ(ブルガリアのカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン):600円
「えっ、この価格で大丈夫??」と思うほどの充実っぷりだ。
構成は、イチジクと生ハム、キノコのスパイスマリネ、チキンカレーペースト、トマトのアチャールのカプレーゼ、鴨の燻製と桃のソース。
キノコのスパイスマリネはブラックマスタードとフェヌグリークのバニラっぽい香りが魅力。
チキンカレーペーストはカルダモンの香りが特徴的で爽快だ。
イチジクと生ハムの相性の良さは鉄板だが、クミンの香りを加えている点にセンスを感じ、良い仕事!これは新発見でありサプライズであった。
ミニトマトのアチャールはスパイスの香りと酸味が魅力的で、プレートの中の清涼剤と成る。鴨はしっとりと仕上げられていて、薫香に惚れ惚れしつつ桃の強い甘味と調和する。
鹿のソーセージは、プリプリとした食感で、カレーソースとの相性も抜群。
クスクスの食感と、カレーリーフのフレッシュな香りも魅力的だ。
カレーにはスリランカ料理で多用されるモルディブフィッシュもしくは鰹節が使用されているようで、独自性がある。
カレーリーフもドライではなくフレッシュを使用しているし、細部への手抜かりがない。
鹿カバブは、むっちりとした食感で味わい深い。鹿肉の一般的なボソボソ感は皆無。
グリーンチャトニの青唐辛子の香りが本格的でありながら、誰もが惹かれるチーズの香ばしさとコクを加えている点に間口を広げる工夫を見る。
サラダに使われているコリアンダーやミントの葉も嬉しい。
「合鴨とネギのビリヤニ」は、鴨南蛮の技法から構想を得ているそうで、鴨肉をフライパンで焼いた後にグレーヴィーで煮て、そのまま冷まして予熱を加えた後に、バスマティライスと一緒に土鍋で加熱しているとのこと。
スパイスの香りがバシッと効いていて、塩気と油脂は穏やか。そして、米粒はぱらりと仕上げられていて、美味しいビリヤニだ。
鴨肉はヨーグルトやスパイスでマリネしてから焼いているのだろうか・・・。
香りが良く、身質はしっとり、ジューシーなので、そのように感じた次第である。
付け合わせの「ラッサム」は豆のコクが効いていて、ちゃんと酸っぱ辛い本格志向の味わいだ。ガーリックは極めて上品で、酸味はタマリンドよりもトマト主体。
ビリヤニはカレーを1品選べるため「ココナッツと野菜カレー」を選びつつ、オプションで「サバのカレー」も頂いた。オプションのカレーは1品300円とリーズナブルだ。
「ココナッツと野菜カレー」は野菜のコクがたっぷりで美味しい。甘味があるが、味わいがもったりとしていない点が良い。
そして、付け合わせのライタ(ヨーグルト)が涙モノの大活躍をしてくれる。
ヨーグルトの酸味だけでなく、コクやミルキー感が活きるライタだ。合鴨だけでなく「サバのカレー」とも相性が抜群。いやあ、ライタは秀逸だ…と、しみじみ感じた。
特にビリヤニと共にカレーを食べる「ジャパニーズスタイル」との相性については、ビリヤニを単体で食べるインド以上なのではないか??とさえ思った。
以上、2品のカレーとビリヤニを頂いた感想として、どのカレーと混ぜても美味しいのは凄い!と感じた。
混ぜると渾然一体となり美味しさを増すのは南インド料理の魅力。さらに、提供するカレーの味覚も考慮されているのが「四次元食堂」のビリヤニの美点であろう。
下記が頂いたワインで、お店の料理との相性が良いので、食事が更に楽しくなる。
尖った料理を出されつつ、お店の雰囲気は高田馬場らしい和風なテイストを感じさせつつ、BGMはアメリカンオールディーズ。
非常に落ち着く。
「食堂」なのにカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーンなど)がクチポールという点にも驚いた。学生さんは気が付かないかもしれないが、クチポールはお洒落レストラン御用達のポルトガルのブランドである。
ちなみに、お店は意外にも以前ご紹介した「アプサラ」の隣であった。高田馬場は個性的なお店が点在している。
四次元食堂
住所:東京都新宿区西早稲田3-19-1
電話番号:なし ※問い合わせはLINEへ
予約可否:予約可
営業時間:【ランチ】11:00-14:30 【ディナー】17:00-21:30(LO 21:00)
定休日:火曜
お店の公式サイト
https://peraichi.com/landing_pages/view/yojigensyokudo/