ヨーグルト(発酵乳)の起源については諸説ありますが、約1万年前に、中央アジアから西アジアにかけた広域で自然発生的に生まれたと言われています。
モンゴルやエジプト、ブルガリア、トルコなどではじまったものが、文化交流と共に東ヨーロッパ、北ヨーロッパ、西アフリカやインドなど世界に伝わり、それぞれの土地に適した乳や菌種が選ばれて各地の食文化として根付いたと考えられています。
今回は、世界各地のヨーグルトを使った料理を紹介しながら、皆さんを世界旅行にお連れしたいと思います。手元に世界地図をご用意ください!
各国の家庭の味にヨーグルトあり!
ある日、各国料理研究家の佐藤わか子さんから、「ヨーグルトを使った料理を食べながら、世界旅行をしませんか」というワクワクするメッセージとともに料理教室のお誘いが届きました。
佐藤さんといえば、著書に「塩ヨーグルトをはじめよう ヘルシー&美味な簡単レシピ65」(文藝春秋)があるほど、ヨーグルトのスペシャリストでもありますので、断る理由は見つかりません。前のめりに参加してきました!
“ヨーグルト料理”と言われるとちょっと躊躇してしまう方がいるかもしれませんが、世界を見渡すと、実は料理に使っている国はたくさんあるんですね。
この日も、ブルガリア、トルコ、イタリア、タイ、メキシコ・・・など、国ごとに少しずつ異なる、でもどこか食べたことのあるような親しみのあるお料理ばかりでした。
初めは、プレーンヨーグルトの水切り方法から。
これは国ごとの違いではなく、いろいろな方法を試した佐藤さんならではのアドバイス。
キッチンペーパーを敷いた平らなバットに広げる人がいますが、ザルを使う方がおすすめ。
ザルも種類がありますが、できるだけ角度があるものを選ぶと重力がかかるので早くできるとのこと。角度があるという点で、コーヒーフィルターで濾すのもおすすめ。セットしてから1時間でホエイがたくさん出るので、それまでは大きめの受け皿が必要です。
それを過ぎたら、元々ヨーグルトが入っていた容器にザルやフィルターを載せて(写真左奥)冷蔵庫に入れてもOK。
※ヨーグルトは他の食品の臭いを吸収しやすいので、冷蔵庫に入れる際はラップや蓋つきの容器に入れるなど、しっかり密閉しましょう。
今回は7品も教えてくださいました。
- ブルガリアのパン「バニッツァ」
- ブルガリアの水切りヨーグルトサラダ「スネジャンカ」
- 枝豆の冷製ピリ辛スープ メキシカン風
- タイ風アボカドと海老のヨーグルトサラダ
- ズッキーニのグリル ~ブルーチーズのせ
- 鶏肉の味噌ヨーグルトグリル ~アボカドのせ
- ヨーグルトカッサータ
7品全てヨーグルトを使ったフルコースでしたが、一緒に参加した方々は「言われなければわからないくらい、どれも違う味で美味しい」「簡単な物ばかりですぐに家で作れそう」など、大満足の声があがりました。
なにより「簡単で美味しく、栄養もしっかり摂れる」のも嬉しい。やっぱり料理にもっともっと取り入れていきたい!
「地球のかじり方 世界のレシピBOOK」で疑似旅行へ
2022年、私たちがコロナ禍で旅に行けずにウズウズしていた頃に、ネットのない時代からバッグパッカーご用達だった海外旅行のガイドブック「地球の歩き方」の全面協力で出版された「地球のかじり方 世界のレシピBOOK」(Gakken)もご紹介します。
実はこの本のレシピを担当したのは、先ほど紹介した佐藤わか子さん。
これまで15か国以上も、各国に旅をし、ホームステイで家庭料理を習ってきたというエピソードを伺うと、このレシピ本のコンセプトにぴったりですね。
日本で入手できる食材や調味料を使って、62の国と地域の名物料理89品を再現できるレシピを紹介しています。さらに食文化・食の歴史・食習慣など、現地取材データをもとにした情報や、「食」に特化した世界の雑学も満載。
このレシピ本の中にもヨーグルトを使ったものがたくさんありました!
ブルガリアのスープ「タラトール」、ネパールの蒸し餃子のソース、トルコのピーマンの肉詰めのソース、インドのピラフ「ビリヤニ」に使われるラム肉の下味・・・などなど、同じヨーグルトでも、調理法はさまざま。
ところが、相性の良いものはやはり似ていて、野菜ならキュウリやナス、ハーブならディルやクミン。
そしてオリーブオイル、塩、レモン、ニンニク。これらは比較的どの国でもヨーグルトと合わせる料理があるようです。
最後に佐藤さんから、「みんなのヨーグルトアカデミー」でヨーグルト愛に目覚め始めてしまった皆さまにメッセージをいただきました。
「世界には、ヨーグルトを調味料のひとつとして料理に使われることが数多くあります。私はそんな料理にたくさん触れてきました。ヨーグルトを焼いたり、ソースにしたり、ディップにしたり、漬けこんだり、度肝をぬかれることも数知れず。でも、これが理にかなっていて、体にも優しい。いまでは、わが家の定番になっているヨーグルトを使った料理がたくさんあるんですよ。ヨーグルトは変幻自在。ぜひジャンルを問わず、ヨーグルトをさまざまな料理に使ってみてくださいね。わくわくするような発見があるかもしれませんよ。」
佐藤わか子
各国料理研究家
料理教室「Wakka Kitchen」主宰。食品会社、食のトータルコーディネート会社に勤務後独立。ホームステイなどで各国の家庭料理を学ぶ。『地球の歩き方』を手に、いままで訪れた国は20か国以上。 ホームステイ先は、タイ、ネパール、ペルー、モンゴルなど15か国弱に及ぶ。現在は、世界各国の料理を家庭で作れるようアレンジしながら日本に紹介している。
Webサイト
http://wakka-kitchen.com/
公式YouTubeチャンネル
「Wakka Kitchen Channel」
https://www.youtube.com/@WakkaKitchen/featured