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火鍋には飲むヨーグルト!中国のヨーグルト事情と激辛対策

ヨーグルトラボ 2022.11.24

火鍋には飲むヨーグルト!中国のヨーグルト事情と激辛対策

麻辣火鍋発祥の地、重慶で火鍋専用ヨーグルトを発見!

先日、『みんなのヨーグルトアカデミー』のTwitterで目を引いた投稿がありました。「火鍋ヨーグルト」です。撮影地は中国南西部に位置する重慶市の麻辣火鍋専門店。文字通り「火鍋酸奶(火鍋ヨーグルト)」と書かれたパッケージで、専用の冷蔵庫まで完備されています。

また、同じ重慶市の別の火鍋店では、食事の最中に「ヨーグルトはいかがですか〜?」と売り子さんが登場し、思わず買ってしまったこともご紹介。ひと昔前の火鍋店なら、身体の熱を冷ますといわれる緑豆ドリンクや、のどを潤す白きくらげ入りのドリンクを売り歩いていましたが、今ではその市場がヨーグルトに取って代わられているようなのです。

ちなみに重慶といえば、辛く痺れる麻辣火鍋発祥の地であり、火鍋のメッカ。幾種類もの香辛料を牛脂で煮出す伝統的な製法でつくられており、ガツンとくる麻辣味と脂っこさは天下一!そして、そんな火鍋店のノンアルコールドリンクといえば、やや甘みのある豆乳、ココナッツミルクドリンク、『王老吉(ワンラオジー)』に代表される涼茶(身体の熱をとる健康飲料)がおなじみ。そこに現代の新定番として加わったのが、飲むヨーグルトというわけです。

なぜ火鍋の伴侶がヨーグルトなのか?

なぜ麻辣火鍋にヨーグルトなのか。それは、ヨーグルトが辛さの刺激を緩和し、胃腸にやさしいと考えられているからです。

重慶の火鍋

前者は科学的にも証明されており、唐辛子が持っている強烈な辛味物質・カプサイシンが、乳製品に含まれるタンパク質の一種・カゼインと結びつくと、口の中に感じる刺激(辛さ)を和らげてくれることがわかっています。また、ヨーグルトには腸内フローラのバランスを整えてくれる乳酸菌やビフィズス菌などが含まれている点も見逃せません。

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする乳糖不耐症の方も、発酵によって乳糖の一部が分解されたヨーグルトなら飲める、という方もいるでしょう。そして、油っこい火鍋を食べてもヨーグルトがあれば、ちょっとギルティフリーな気分になれる…。そんな健康志向が、ヨーグルトを火鍋店の定番ドリンクに押し上げていったことは想像に難くありません。

唐辛子

火鍋チェーンの増加がヨーグルト消費量に寄与?

そこで中国のヨーグルト市場に目を向けてみると、ここ10年間、着実に市場規模を拡大させていることがわかります。中国の食メディア『Foodaily每日食品』の記事によると、2012年に約456億元の市場だったところが、2022年には約2,200億元と4倍超に成長。「ヨーグルト産業は社会全体が注目する分野であると同時に、中国のビジネスセンスと市場経済の成熟度を示すものでもある」と論じています。

一方、火鍋店に目を向けると、2017年から2018年にかけてはチェーン店への投資がさかんになり、店舗数が拡大していった時期。そのうち64%は四川・重慶に本拠地を構える麻辣火鍋店であることから、激辛で刺激的な火鍋と、舌や胃腸にやさしいヨーグルトは、互いに利のある関係として手を組み、市場を拡大していったのかもしれませんね。

火鍋

組み合わせはなんでもあり!?中国のヨーグルトいろいろ

そもそも中医学の根付いた中国では、棗(ナツメ)、桑の実、クルミ入りなど、健康志向を感じさせるヨーグルトが多々見られます。近年では、貴州省でよく食べられているドクダミの根っこを入れたヨーグルトが発売されてネットで話題に。コロナ禍当初、貴州省の感染者が少なかったことから、抗菌作用の高いドクダミ効果ではないか?などと噂されていたのは記憶に新しい話です。

また、健康志向とは真逆の発想ですが、“映え”要素を追求しがちなのも現代中国。ユニークなところでは、成都のヨーグルトドリンク店で火鍋を模した「火鍋ヨーグルト」も登場しています。こちらは火鍋と一緒に楽しむヨーグルトではなく、ヨーグルトを火鍋のスープに見立て、火鍋に使う唐辛子をはじめ、香辛料をトッピングしたもの。中国のSNSで評判を見ると、その味わいは「奇特」とか。

火鍋とヨーグルトの蜜月は、まだまだ終わることがなさそうです。

記事を書いた人

佐藤貴子
佐藤貴子

編集者・ライター。中華がわかるWEBマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。中華圏を胃袋目線で旅するroundtable(ラウンドテーブル)主宰。得意料理は中国の発酵火鍋。

Instagram
@satotakachinesefood

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