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牛乳で自家製ヨーグルトの味はどう変わる?人気のヨーグルトメーカーで比較してみた

ヨーグルトラボ 2023.09.29

牛乳で自家製ヨーグルトの味はどう変わる?人気のヨーグルトメーカーで比較してみた

[低温殺菌牛乳]想像以上にさっぱり[低脂肪乳]まろやかでクリーミー。滑らかさも十分

タカナシ低温殺菌牛乳・タカナシ北海道低脂肪乳

最後に、低温殺菌牛乳と低脂肪乳で自家製ヨーグルトを仕込んだ。メーカーはともにタカナシ乳業で「タカナシ低温殺菌牛乳」「タカナシ北海道低脂肪乳」である。

前者は、岩手県葛巻町の生乳を66度で30分殺菌しており、メーカーサイトを見ると「生乳本来のおいしさを大切にした自然のあまみが感じられる産地パックの牛乳」とある。

こうした低温殺菌牛乳は、パスチャライズ牛乳とも呼ばれ、前出の通り、高温殺菌法と比較すると、熱変性による風味の変化が抑えられるメリットがある。まずはそのまま飲んでみると、ソフトクリームから甘みを抜いたようなミルキーさが感じられ、口当たりが軟らかい。

後者の低脂肪乳は、北海道根釧地区の生乳から乳脂肪分を約50%取り除いたもので、カロリーは200cc(コップ1杯の目安)あたり99kcal。低温殺菌牛乳が137kcalなので、約28%のカロリーOFFだ。こちらは、そのまま飲むとあまり牛乳臭さがない。さらっとしているが、物足りなさはなく、牛乳が苦手な方も飲みやすいように思う。

それぞれ6時間後に開封してみると「タカナシ低温殺菌牛乳」は、想像以上にキレイに固まっていた(写真左)。

[低温殺菌牛乳]想像以上にさっぱり[低脂肪乳]まろやかでクリーミー。滑らかさも十分

食味は、同じ低温殺菌の「木次乳業ノンホモ牛乳」と比べると、だいぶさっぱりしている。

同社のサイトでは、この牛乳を「搾りたての生乳のような『さっぱりとした』味と香り(中略)。岩手県葛巻町の生乳の特徴である、上質な風味と、後味すっきりのキレのよさ」と紹介しているが、まさにその特徴がでている。

一方、低脂肪乳は、写真では伝わりにくいが、4種類の牛乳の中で最も滑らかなテクスチャーに仕上がった(写真右)。

左が低温殺菌牛乳、右が低脂肪乳。
左が低温殺菌牛乳、右が低脂肪乳。

舌触りがとてもよく、味はクリーミーで食べやすい。ただ、乳清が多く出てしまった。仮説の上では、130度2秒の超高温殺菌なので、しっかり固まるはずだが、もしかすると製造過程で道具の殺菌が甘かった等、他の原因も考えられるかもしれない。

タカナシ低温殺菌牛乳

[スペック]低温殺菌66度30分・脂肪球均一化・無脂乳固形分8.4%以上、乳脂肪分3.6%以上
[結果]さっぱりとした風味。

  • 固まり方:★★★
  • 滑らかさ:★★★
  • 酸味:★★★★
  • まろやかさ:★★

タカナシ北海道低脂肪乳

[スペック]超高温殺菌130度2秒・脂肪球均一化・無脂乳固形分8.5%以上、乳脂肪分1.8%
[結果]クリーミーで滑らかな舌触り。低脂肪を感じさせない。

  • 固まり方:★★★
  • 滑らかさ:★★★★★
  • 酸味:★★★
  • まろやかさ:★★★★

[結論]牛乳を変えれば、自家製ヨーグルトの風味も変わる。

[結論]牛乳を変えれば、自家製ヨーグルトの風味も変わる。

牛乳、ノンホモ牛乳、低温殺菌牛乳、低脂肪乳の4種類で、同じ種菌(明治ブルガリアヨーグルト)で自家製ヨーグルトを作り比べてみた結果、仮説通り、牛乳を変えれば、自家製ヨーグルトの風味も変わることがわかった。

この中で、最も酸味が強く、再現性が高かったのが牛乳(農協牛乳)。その逆で、まろやかさが印象に残ったのが非加熱ノンホモ牛乳(木次ノンホモ牛乳)である。ただし、後者は非加熱では固まらなかったため、ヨーグルトを使ったスープなど、温かい料理に活用して、オリーブオイルなどと合わせると、その特徴が生かせそうだ。

一方、ヨーグルトとしてリッチな味わいが楽しめたのが、85度に加熱してから発酵させたノンホモ牛乳(木次ノンホモ牛乳)。遠くにイタリアのフレッシュチーズ、ブッラータのような風味も感じられ、素朴なおいしさが感動を呼んだ。

また、さっぱりとした風味に仕上がったのが低温殺菌牛乳(タカナシ低温殺菌牛乳)で、想像以上にまろやかで舌触りがよかったのが低脂肪乳(タカナシ北海道低脂肪乳)だ。低温殺菌牛乳は、一度加熱してから発酵させると、異なる固まり方と風味が得られそうな気もするので、気になった方は試していただきたい。酸味が苦手な方は、低脂肪乳でヨーグルトを仕込むと、ローカロリーでまろやかな味わいが得られてよさそうだ。

個人的に順位をつけるなら、1位はノンホモ牛乳を加熱して作ったヨーグルト、2位は低脂肪ヨーグルトだ。前者は素朴でリッチな味わいが豊かな気持ちにさせてくれ、後者は低脂肪でありながら物足りなさを感じさせず、クリーミーな味わいに驚きがあった。

自家製ヨーグルト作りの留意点

最後に、自家製ヨーグルトを作る際の重要なポイントとして、3つを挙げておきたい。

  1. 牛乳と種菌をしっかり混ぜる
  2. 雑菌が入らないよう、混ぜ合わせる道具を熱湯消毒してから使う
  3. 種菌となるヨーグルトは、都度新しいものを使う

これらを怠ると、固まりにくかったり、発酵時に雑菌が繁殖してしまう恐れがある。自宅のキッチンとヨーグルト工場との環境は違うことに留意し、衛生管理はしっかりとしたい。

かき混ぜるスプーンは熱湯消毒必須だ。
かき混ぜるスプーンは熱湯消毒必須だ。

また、脱脂粉乳を加えて作られる市販のヨーグルトと比較すると、脱脂粉乳を加えずに作る自家製ヨーグルトは総じてとろりとしてゆるめになるようだ。仕上がりにダマができることもあるが、気になる方は、食べる前にしっかり混ぜれば滑らかになる。

今回はブルガリアヨーグルトを種菌に、4種類の牛乳、5つの製法で作り比べてみたが、それぞれに違った個性があり、意外と飽きずに食べることができた。自家製ヨーグルトなら、種菌となるヨーグルトを変えたり、さらに牛乳を変え、発酵時間や温度を変えることで、さまざまな風味のヨーグルトが楽しめる。最終的に好みの味をつくれれば、経済性とおいしさを両立させられて一石二鳥だ。

※この実験は学術的なものではなく、おいしさを追求して自由研究的に取り組んだものです。必ずしも同様にして同じ結果が得られるとは限りませんのでご留意ください。

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記事を書いた人

佐藤貴子
佐藤貴子

編集者・ライター。中華がわかるWEBマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。中華圏を胃袋目線で旅するroundtable(ラウンドテーブル)主宰。得意料理は中国の発酵火鍋。

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