以前、ヨーグルトでパンケーキがふわもちになるという実験をご紹介しましたが、今回はその続編。カレーにぴったりのナンは、ヨーグルトでふっくらとした食感が作れるのか?という実験です。
結論から言うと、、、大成功!
ヨーグルトと小麦粉とベーキングパウダーで、発酵いらず、こねいらず。たった10分で、イーストを使った本格的なものと遜色ないふっくらナンができました。 これなら、お米を炊くより早い!
そこで今回は、イーストの発酵生地を使って作る本格派のナンと、ベーキングパウダーにヨーグルトを加えて膨らませた即席ナンを徹底比較。科学視点で解説します。
ナンを膨らませるベーキングパウダーとイースト菌の違いとは?
ベーキングパウダー(ふくらし粉)とイースト(酵母)は、どちらも生地を膨らませる役割を果たしますが、その性質は異なります。
ベーキングパウダーは、重曹(炭酸水素ナトリウム)と酸性の成分が反応して炭酸ガスを出す膨張剤。水分と熱ですぐに反応が進み、生地がふんわり膨らみます。
一方、イーストは生きた菌で、食品の中の糖分を分解する発酵過程で炭酸ガスを発生させるため、時間をかけてゆっくり膨らみます。
一般的には、ベーキングパウダーで膨らませた生地はさっくり、イースト菌で膨らませた生地はもっちりとした食感になると言われていますが、ヨーグルトパンケーキの実験では、ベーキングパウダーで膨らませてもしっとりもちもちになっていました。
これは、ヨーグルトに含まれるたんぱく質が、発酵によりその一部が小さな粒子に分解され、それが小麦粉の弾力性をもつたんぱく質「グルテン」に作用することで、しっとりもちもちの食感になるためと考えられます。
そこで、ヨーグルトを使えば、ベーキングパウダーで膨らませたナンもしっとりもちもちになるのでは? という仮説を検証してみます。
レシピ
今回、即席ヨーグルトナンの参考にしたのは、「NHK きょうの料理」に掲載されていたこちらのレシピ。
https://www.kyounoryouri.jp/recipe/600906
材料
- 薄力粉:100g
- 強力粉:100g
- ベーキングパウダー:小さじ1
- 塩:少々
- プレーンヨーグルト(無糖):120g
- はちみつ:大さじ2
- サラダ油:大さじ1
比較対象の本格ナンは、インドカリー子さんのこちらのレシピを参考にしました。
ただし条件を揃えるために、強力粉と薄力粉を半々の割合にし、ヨーグルトの有無で違いが感じられるよう、水分には水を使用しました。
材料
- 薄力粉:125g
- 強力粉:125g
- 水:150ml
- サラダ油:15g
- バター(レンジなどで溶かしておく):15g
- 砂糖:4g
- 食塩:4g
- ドライイースト:3g
どちらも材料をよく混ぜ合わせてこね、即席ヨーグルトナンはそのまま、イースト発酵の本格ナンは常温で1時間発酵させます。
左が即席ヨーグルトナン、右がイースト発酵の本格ナンの生地です。写真だと分かりづらいですが、即席ナンの生地はやや固めで、薄く伸ばすのが一苦労。イースト菌で発酵させたナンの生地は大きく膨らみ、とっても軟らかいです。
それでは焼き比べてみましょう。タンドリー窯はないのでフライパンで。

左がイースト発酵の本格ナンで、右が即席ヨーグルトナン。見分けをつけるために焼き色を変えていますが、形や膨らみ方はほぼ同じです。
いざ実食!即席ヨーグルトナンの風味と食感は?

こちらが即席ヨーグルトナン。ヨーグルト感は全くないのですが、パンのようなほんのり発酵した香りがあります。持った感じは、普通のナンよりやや重みがある印象。
食べてみると、、薄い部分はサクッと、中はもっちり。完全にナンが再現されています! ハチミツが多めに入っているので、甘みも感じて美味しいです。

こちらがイースト発酵の本格ナン。比較すると、即席ヨーグルトナンより軽く、弾力があります。
香りは、焼きたてパンを彷彿とさせるイーストの香り。甘みはやや控えめですが、これは砂糖の量の違いでしょう。食べ比べるとこちらの方がインド料理店のナンに近いかな?という感じはありますが、焼きたてはあまり違いを感じません。
家族に食べ比べてみてもらったところ、「ヨーグルトナンの方がもちもちしてて甘いけど、それ以外はほぼ同じ」とのことでした。手間を考えると即席ヨーグルトナン、アリなのではないでしょうか?
チーズを巻き込めばチーズナン、ガーリックオイル、パセリを掛けたガーリックナンなどのアレンジも自由自在です。
[おまけ]余ったヨーグルトは即席サラダ「ライタ」がおすすめ
ナンを作って残ったヨーグルトがあれば、ヨーグルトを活用した即席ライタ(ヨーグルトのサラダ)が超おすすめです。
https://yogurt-academy.com/relay-essay-yokota-mutsumi/
基本レシピはプレーンヨーグルトに塩、刻んだきゅうり。お好みで玉ねぎ、ミントやパクチーなどのハーブやレモン汁、クミンなどのスパイスを加えるとより本格的になります。
筆者はものぐさなので、残り半分くらいになったヨーグルトパックに塩と余っている野菜をジャカジャカ入れて大量に作っています。
辛いカレーの箸休めに、またカレーに少し混ぜて味変に。ナンとこれさえあればレトルトカレーもグッと本格的な一皿になるので、ぜひ作ってみてください!



