盛りのよさを見せたいか、構成要素を見せたいか? 構図は伝えたい内容によって決める
うつわと布、光を決めたら、次は構図です。具体的には、①画面の中に被写体となるヨーグルトをどの場所に置くか、②どの角度から撮るか、の2つですね。
ここで大事なのが、基本的な構図はヨーグルトを盛り付ける前に決めること。盛り付けてからあれこれ動かすと、ヨーグルトがどんどん変化していってしまうからです。これは、料理撮影に共通するポイントです。
まず、どの場所に置くか?ですが、スマホで撮影する場合、画面にグリッド線が出せますよね。このグリッド線が交差している場所にうつわを置くと安定感が出ます。
しかし、ヨーグルトのように小さめの被写体1つだけで、画面を構成するのは難しいんです。言い換えると、勇気がいります。画面が埋まらなさすぎるのです。
そこで役に立つのが、最初にご提案した布(クロス)。被写体の周りに空間がたっぷりある場合、布にちょっとしわを寄せて、立体感や陰影をつけます。するとどうでしょう。ゴチャつかずにシンプル、かつ、雰囲気のある世界がつくれます。
そしてさらにおすすめの方法は、うつわを2つ置いて、2人で楽しむテーブルのイメージをつくること。そうすると、手前と奥にものを配置してバランスがとれるので、安定感のある構図をつくることができます。
角度(アングル)は何を伝えたいか?で変える
次に「どの角度から撮るか?」は、基本的に「何を伝えたいか?」で決めます。
例えば「ヨーグルトのボリューム感を見せたい」なら、被写体の横から撮ると、盛り付けた量がわかりやすく見えますよね。また「器の中に何が入っているかをよく見せたい」なら、上から撮ると中がよく見えます。さらに真上(俯瞰)から撮ると、構成要素の配置がはっきりとして、デザイン性がでてきます。
最も自然なのは、テーブルの前に座って「いただきます!」という瞬間の、食べ手の目線の自然な角度(斜俯瞰)ですね。一概には言えませんが、無難に仕上がります。
例えば、スタイリッシュなカフェシーンを例にしてみていきましょう。
まず、下の写真のガラスのうつわは、薄手でシャープな雰囲気があります。そうすると、山盛りのヨーグルトを盛り付けると、ちょっとアンバランスな気がしますよね。そこで「軽めに盛ってちょっと上から撮ったほうがいいな」となります。
次に、下皿とうつわのバランスをみます。うつわは下皿の中央に置くのではなく、少しだけ手前にもってくるといいですね。ど真ん中にうつわをおくと、レンズの性質上、どうしても奥にあるように見えてしまうからです。
また、スプーンを添える場合、まっすぐ置くと、ちょっとでも曲がっていると写真では不自然に見えてしまいます。ですから、スプーンは最初からちょっとななめに振った方が失敗が少ないですね。
あと、気持ち小さめのスプーンを選ぶのもポイントです。写真になると、どうしても手前が大きく写りますから。金属の場合、つやなし仕上げは変に反射しないので、技術を問わずキレイに撮りやすいです。
こうして構図が決まり、光が決まり、小道具が決まったら、最後は盛り付けて撮影です!真っ白いヨーグルトのもりつけは、どんなことに留意し、どのように撮影すればいいのでしょうか?
構図のポイント
- 手前と奥にヨーグルトのうつわを配置すると、安定感のある構図をつくりやすい
- うつわの中の構成要素を見せるなら高めの位置から撮り、ボリューム感を見せるなら低めの位置から撮る