ヨーグルトの使い方は、ヨーグルト先進国の人々に訊け! このシリーズでは、日本に住む各国出身のみなさんに、ふるさとのヨーグルト料理や、知られざるヨーグルトの活用法を教わります。
世界三大料理にも数えられるトルコ料理。しかし日本では食べられる場所があまりない・・・ならば、その道のプロにトルコの家庭料理を教わろう!
ということで、「突撃!隣のヨーグルトごはん トルコ編後編」は、夏バテ対策のヨーグルトスープ、レベニエチョルバスに続いて、トルコ定番のソース2種類をご紹介します。
このソースが、肉、野菜、魚、パスタとなんでもいける万能選手。手軽に作れて日本人にも食べやすい味わいなので、一度作ったらリピートしたくなること間違いなし!
教えていただくのは、前編に引き続き、阿佐ヶ谷のトルコ料理店「イズミル(Izmir)」のオーナーシェフで、トルコ調理士協会日本代表を務めるエリフ・アガフルさんです。ソースを使ったアレンジレシピもありますよ。ぜひ最後までご覧ください。
かければたちまちトルコテイスト!? ヨウルト&ドマテスの最強タッグ
今回教わるのは、トルコの家庭料理の定番中の定番のソース。それも1種類じゃありません。2種類です。
なぜなら、「2つのソースを一緒にかけると、トルコの味になりますよ。肉、野菜、マカロニなどなんでもいけます」とエリフさん。
そのひとつが、ヨーグルトを使ったヨウルトソス(yoğurt sosu)。トルコではドネルケバブなどにもヨーグルトソースが使われており、スパイシーな料理との相性は抜群! そしてもうひとつが、トマトを使ったドマテスソス(domates sosu)。こちらはトルコ風水餃子のマントゥや肉だんごのキョフテにぴったり。
どちらも単品で使うこともできますが、2つのソースを1つの料理に合わせがけすることで、よりトルコらしさが醸し出せるというのがポイント。
ヨーグルトの爽やかさと乳製品独特のマイルドなコクに、トマトのうまみと香ばしさが加われば、どんな食材でも極上のトルコ風味になってしまいます。さっそく作り方をご紹介していきましょう。
トルコ式ヨーグルトソース&トマトソースの作り方
ソースの材料
分量:パスタ2人前+野菜料理2~3人前
①トルコ式ヨーグルトソース(ヨウルトソス)
- プレーンヨーグルト:210g
- にんにく:2g(すりおろし)
- 塩:2g
②トルコ式トマトソース(ドマテスソス)
- トマト(中):3個
- にんにく:1片と半分(約2g:みじん切り)
- オリーブオイル:10g
- 塩:4g
- 唐辛子粉:2g(ここではスペイン産を使用)
ヨーグルトソースには生にんにく、トマトソースには炒めたにんにくを使い、ちょっと多めに唐辛子を入れるのがポイント。トマトは水を使わずに煮ることで、風味豊かなソースとなる。
1.ヨーグルトソースをつくる。
まずはヨーグルトソースをつくります。こちらは火を使わないのでとっても簡単! プレーンヨーグルトに、生のすりおろしにんにくと塩を混ぜるだけ。にんにくのドライな辛さが隠し味となります。
2.トマトソースをつくる。
①湯むきトマトをつくる。
続いてはトマトソースです。トマトの皮をむくため、上面に十字に切れ込みを入れてから、熱湯の中に丸ごと入れ、湯むきトマトをつくります。湯むきトマトでソースをつくると、舌ざわりの滑らかなソースができるのです。
②湯むきトマトを刻む。
20秒ほど加熱して、トマトの切れ目から皮がめくれてきたら、冷水に取り、トマトの皮をペロンとむきます。トマトの皮がむきにくい場合は、加熱時間を増やしてくださいね。皮をむいた後は、刻んでボウルなどに取り分けておきます。
③にんにくをオリーブオイルで炒める。
鍋にオリーブオイルを入れ、みじん切りにしたにんにくを中弱火で炒めます。「にんにくを炒めるのは、喉にえぐみが残らないようにするためよ」とエリフさん。炒め方は、焦がさず、香りが出るまで。
ちなみにトルコはオリーブオイル生産国のひとつ。エリフさんが店名に掲げるイズミルもまた、オリーブオイルの名産地。そんなことを思いながらにんにくを炒めるのも楽しいものです。
④鍋に刻んだトマトを加えて煮る。
にんにくの香ばしい香りが漂ってきたら、鍋に刻んだトマトを加え、中火で5~10分ほど加熱します。ポイントは、水を加えず、フレッシュトマトの水分で煮ること。こうすることで、味わいの濃いソースができます。
⑤唐辛子粉と塩を加えて仕上げる。
鍋の中のトマトが生っぽい状態から軽いソース状になってきたら、唐辛子粉を入れ、5分ほど煮て水分を飛ばし、ソースの味を凝縮させたらできあがりです。
気になる辛さは、味見して「ちょっとピリ辛かな?」というさじ加減がベスト。写真ではたっぷり唐辛子粉が入っているように見えますが、品種や産地によって唐辛子の辛さは異なります。エリフさんはそれほど辛くないスペイン産を使用しているとのこと。
唐辛子のスパイシーな風味は、合わせがけするヨーグルトソースの風味をぐっと引き立ててくれますので、辛さが苦手な方でもぜひ入れてみてください。
さて、ソースの準備が終わったら、いよいよ料理へのアレンジです。次のページでは、2つのソースを使った野菜料理とパスタをご紹介します。