ヨーグルトの使い方は、ヨーグルト先進国の人々に訊け!このシリーズでは、日本に住む各国出身のみなさんに、ヨーグルト料理や知られざるヨーグルトの活用法を教わります。
ヨーグルト発祥の国とも言われているトルコは、その利用方法も実に様々。そのまま食べるだけではなく、様々な料理にヨーグルトを取り入れているのだとか。日本人にはあまり馴染みのないトルコの食文化、とても気になりますよね!
ということで、品川区八潮にある大規模団地で出迎えてくれたのは、つい先日引越しを終えたばかりだというチフチ・アイテキ(Çiftçi Aytek)さん、チフチ・ケズバン(Çiftçi Kezban)さんのご夫婦。
今回はトルコ出身のお二人に、それぞれがご両親から引き継いだ伝統的家庭料理を振る舞っていただきました。そのどれもが、驚くほど日本人の口に合う味。
トルコと日本のヨーグルト事情はどれほど違うのか、お二人にたっぷり教えてもらいました。
日本に来たのは「たまたま」だった
現在は東京都内でインターナショナルスクールの理科教師をしているアイテキさんは、子どもの頃から同じところで同じことをするのが性格に合わないと感じていて、中学生の時には将来別の国へ行くことを決めていたそうです。
アイテキ:「トルコの大学の教育学部を卒業して、全世界のインターナショナルスクールの窓口となっている事務局に履歴書を送りました。この国がいいとか、あの国は嫌だとか、普通は行きたい場所を選ぶのですが、私は世界中のどこでもいいとチェックしました。すぐにでも海外へ行きたかったから。
そうしたら、決まった場所が人口5,600人というトルコの田舎町の新設校だった。建物はまだ工事中で職員は私だけ。まだ22~23歳なのに、いきなり校長先生です。私一人しかいないから、全部をやらないといけないワンオペ校長。
ある日、学校のトイレ掃除をしていたら、教科書を売る営業マンが来ました。『校長先生と話したい』というので、校長室に案内して、『さあ、どうぞ』といったら、『すみません、私は校長と話したいんですけれど……』と。『いえ、私が校長ですよ』と自己紹介したのですが、そりゃ驚きますよね。
この学校には4年間いましたが、ここでの経験は私を人間としてすごく成長させてくれたので感謝しています。人間は困らないと本気を出しませんから」
田舎町でのワンオペ校長という仕事にやりがいを覚えつつも、子どもの頃から海外へ行きたかったアイテキさんが移動の希望を伝えると、日本への転勤が決まりました。
アイテキ:トルコの田舎町から東京へ来たのでギャップが凄かったですね。でも日本に来て本当に良かったと思います。これまで仕事の関係で世界中の国々を訪れましたが、どこに行っても日本へ帰ってくるとホッとする。もう運命ですね。6年前に家族全員で帰化もしました。
東京で10カ月ほど日本語の勉強をしてトルコに一時帰国したときに、大学の後輩で数学の教師だったケズバンさんと話をしたら、『あなたと一緒にどこにでもいきます』と言ってくれた。答えを聞かなくても目でわかりました。それで結婚をして、その8日後に一緒に日本へ行きました」
いきなり日本に住むことになったケズバンさん。さぞや大変だったのではないでしょうか。
ケズバン:「名古屋で3年、大阪で2年、岡山で1年、そして東京に来て4年目です。来日したときは26歳でまだ若かったから、なんにでも興味津々だったし、日本人はみんな優しかったから、そんなに大変じゃなかったです。
子どもは名古屋と大阪と岡山で3人産みました。だからみんな日本語がペラペラ。上の二人は岡山で公立校に通っていたから今でも岡山弁を喋ります。給食を食べて育ったから、日本料理も大好き!
ヨーグルトでカルチャーショック。トルコと日本はどう違う?
日本でもヨーグルトは一般的な食材ですが、トルコではその使う量と頻度が桁違いで、味も少し異なるようです。
アイテキ:「トルコではヨーグルトをとてもよく食べます。サラダ、スープ、ケバブ、なんにでも使う。朝昼晩、毎食のように食べる人も多い。アイランというヨーグルトに塩と水を入れた飲み物も人気ですね。アイランは、飲み慣れないと苦手に思うかもしれませんが、何度か飲むうちに、おいしく感じるようになりますよ。
ケズバン:「日本で売られているヨーグルトは400グラムのパックが多いですが、トルコでは最低1キロから。バケツみたいな容器に入った5キロくらいのヨーグルトが普通に売られています」
アイテキ:「味も少し違います。日本で売られているヨーグルトは、ちょっとやわらかくてマイルド。トルコは牛乳の乳脂肪分が高いからか、しっかりしたヨーグルトが多い。酸味も少し強いですね。水牛のミルクを使った、ひっくり返しても容器から落ちないくらい硬いヨーグルトも人気です」
ケズバン:「もう一つびっくりしたのは、初めて日本で食べたヨーグルトが甘かったこと。トルコでは甘いヨーグルトは小さな子ども用で、パッケージも明らかに幼児向け。当時はプレーンヨーグルトを買っても砂糖がついていて、『なぜ?』って思いました。
アイテキ:「私は買い物のとき、あまりちゃんと確認しないから、今でもたまに甘いヨーグルトをカゴに入れてケズバンさんに注意されます。でも子どもたちは日本育ちなので、甘いヨーグルトも大好き。砂糖とフルーツを入れてよく食べています」
ケズバン:「昔はどこの家庭でもヨーグルトを作っていました。今も健康のために手作りする人は多く、私も週に3~4リットルくらい作っていますよ。牛乳はなるべく乳脂肪の多いものを使うようにします」
ひよこ豆で作るトルコの伝統的ヨーグルト
トルコでは、昔はどの家庭でもヨーグルトを作っていて、今も健康のために手作りする人が多いそう。ケズバンさんも、乳脂肪の高い牛乳を使って、週に3~4リットルくらい仕込んでいるのだとか。
ヨーグルトの話で盛り上がっていたら、アイテキさんの同僚のパートナーである、セン・ジュレイ(Şen Zürriyet)さんが、自家製ヨーグルトをもって来てくれました。
ジュレイさんは半年前にオーストラリアから来たヨーグルト作りの名人だそう。来日してすぐに作ったというトルコの伝統的ヨーグルトの製法を教えてもらったところ、なんとひよこ豆についている天然の乳酸菌を種菌にするといいます。
ジュレイ(アイテキさんが通訳):「トルコの伝統的製法では、乳脂肪分が3.7%と高めの牛乳を沸騰直前まで温めて、50度まで冷めてから清潔な容器に移し、さらに40度まで下がったところで、水洗いした乾燥ひよこ豆を入れて、布で包んで5~6時間保温します。
ヨーグルトの仕上がりには、種菌の力、牛乳の脂肪分、保温の時間などすべてが影響します。今はデジタル温度計を使いますが、昔は冷ました牛乳に小指を入れて、8までカウントして“軽く噛まれる(少し熱く感じる)”くらいを適温としていました。数秒で“噛まれた”らまだ熱すぎます。
最初はまだ菌の力が弱いので、ラッシーみたいに柔らかいヨーグルトしかできません。それをスプーン1杯とって種菌にしてまたヨーグルトを作り、それをまた種菌にするというのを3~4回くらい繰り返すと、だんだん乳酸菌の働きが安定して、今日持ってきたヨーグルトのようになります」
ジュレイ:「このヨーグルトは作ってからの歴史がまだ半年と浅いので、菌の力がちょっと弱い。だからたまに健康を保つ力をアップさせるためにも、市販のヨーグルトで善玉菌を足してあげるんです」
そういって出てきたのは、「明治プロビオヨーグルトLG21」。まさかこのヨーグルトが、トルコの伝統製法と日本の最新技術のハイブリッドヨーグルトだったとは。
さっそくいただいてみると、しっかりした食べ応えとまろやかな酸味があり、大変おいしいヨーグルトでした。
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