ヨーグルトの使い方は、ヨーグルト先進国の人々に訊け! このシリーズでは、日本に住む各国出身のみなさんに、ふるさとのヨーグルト料理や、知られざるヨーグルトの活用法を教わります。
トルコ各地の多様な料理に共通しているのは、ヨーグルトだった
アイテキさんとケズバンさんが作ってくれたトルコの家庭料理を、流暢な日本語での説明付きで食べさせていただくという、最高に贅沢で豊かな文化交流の時間がスタートです。テーブルいっぱいに並んだごちそうを前に、顔のゆるみが止まりません。
アイテキさんはトルコ東部のムシュ県、ケズバンさんは西部のデニズリ県の出身。どちらも海から離れた地域で、遊牧民スタイルの食事がスタンダード。海の魚を食べる機会はあまりなかったそうで、日本人にも有名なサバサンドは、二人とも一度しか食べたことがないのだとか。
アイテキ:「トルコは地域によって食文化が大きく違うから、私たちはまだトルコ料理の三分の一も食べていないと思います。トルコ人の有名なシェフの話では、『トルコにはナスを使った料理だけでも400種類ある』そうです。パンの形とかもヨーロッパ側と中東側では全然違う。でもヨーグルトをよく食べるという点だけは、共通しているかもしれません」
食事の挨拶は「いただきます」ではなく「ビスミッラー(Bismillah)」。イスラム教の聖典コーランの各章の冒頭に唱えられる、神の祝福への感謝の言葉。トルコでは食事の前に限らず、仕事や運転を始めるときなど、あらゆる場面で「ビスミッラー」と唱えるそうです。
マントゥ(Mantı)
世界一小さい水餃子とも呼ばれる料理で、手間がかかるのでお客さんが来た時だけ作る特別なメニュー。
お二人は日本で餃子を初めて見たときに、その大きさにびっくりしたとか。このマントゥはアイテキさんのお母さんから習ったトルコ西部スタイルで、「カイセリ県などもっと小さいマントゥを作る地域もあるけれど、具の味わいがしっかり感じられるこの大きさが、二人にとってはナンバーワン」とのこと。
乾燥したナスとピーマンのドルマ(Kuru patlıcan ve biber dolması)
トルコ人はお米を野菜に詰めたりブドウの葉で巻いたりする料理が大好き。中身をくりぬいて乾燥させたナスやパプリカなどに詰めるドルマはトルコの代表的な料理です。
トルコでは自分で野菜を干す人も多いそうですが、湿度の高い日本では、うまく乾燥しないのだとか。
ピシ(Pişi)
トルコ風の揚げパン(揚げ餃子)で、アイテキさんのお母さんが来日したときにケズバンさんに教えてくれた料理です。しかしアイテキさん自身は一度も食べたことがなく、「なんでこんなにおいしい料理を今まで作ってくれなかったの!」と思ったそうです。
それにしてもヨーグルトの多彩な使い方に驚きの連続です。日本食でいえば醤油、味噌、豆腐といった大豆加工食品くらい、必要不可欠な食材なのかも。これらの料理をヨーグルト無しで作ったら、トルコ人としたらかなり物足りなく感じるのでしょうね。
ズッキーニとニンジンのヨーグルトソース和え(Kabaklı-havuçlu yoğurt salatası)
ズッキーニとニンジンを細長くスライスして、オリーブオイルで軽く炒めて、冷ましてから、ニンニク、ヨーグルト、マヨネーズで和えて、クルミ入りのパプリカソースをかけたもの。
肉団子入りヨーグルトスープ(Köfteli yoğurt çorbası)とキュウリとヨーグルトの冷たいスープ(Cacık)
スープは、肉団子が入った温かいスープ(チョルバ)と、キュウリを使った冷たいスープ(ジャジュク)の2種類。どちらもヨーグルトを使ったものです。
ホウレンソウのパイ(Ispanaklı börek)
ホウレンソウを薄い生地で包んで焼くトルコの伝統的なパイ。市販のパイシートを麺棒で薄く伸ばし、卵と牛乳を混ぜたものを塗り、具(ホウレンソウとタマネギをオリーブオイルで炒めて、塩と胡椒とパプリカパウダーで味付けしたもの)を入れて折りたたみ、再び卵と牛乳を塗って220度に予熱したオーブンで焼きます。
季節のサラダ(Mevsim salatası)
キュウリ、トマト、タマネギだけで作れば、トルコの伝統的なサラダである羊飼いのサラダ(Coban Salatası)。そこに季節の野菜が加わったものがこちら。味付けはオリーブオイル、ザクロソース、塩、レモン汁。
チャイを飲みながら
大満足のランチの後は、チャイと呼ばれる紅茶を飲みながら、二人の尽きることのない話をたっぷりと伺いました。このティータイムも食事と同じくらい大切な時間。印象的だった話をいくつか書き残しておきます。
アイテキ:「トルコではチャイをよく飲みます。インドのチャイのような甘いミルクティーとは違って、ブラックティー(ストレートティー)です。濃く作った紅茶にお湯を加えて、好みの味に薄めるのがトルコ流。みんな一日10杯以上飲みますよ」
アイテキ:「ラマダンの日にちはイスラム暦(ヒジュラ暦)。西暦だと毎年11日くらい早くなるのですが、カナダや北欧のように緯度が高い国では夏は日没が22時過ぎになることも。それまでごはんが食べられません。今年のラマダンは2月でしたが10年くらい前は6月だったので、大変だったみたいですよ。
その点、日本のラマダンは遅くても19時くらいだから過ごしやすいです。また羽田空港も成田空港も祈祷室がとても便利な場所にあるので助かります」
ケズバン:「トルコ料理で使うスパイスの種類は少なく、塩、胡椒、パプリカが基本で、たまにクミンや唐辛子が入るくらいだから、日本人にも難しくないと思いますよ。ただ我々はイスラム教徒なので、肉類は正しく処理されたものしか食べられません。日本でもハラールショップやインターナショナルショップで買えますが、羊肉は冷凍が多いので今回は生が手に入りやすい牛肉を使いました。でもやっぱりおいしいのは羊です。トルコの精肉店だったら新鮮な羊肉を切り分けてくれるから、今日の料理ももっとおいしくなるのに」
アイテキ:「日本の印鑑文化はおもしろいですね。最初は朱肉をつける量とか難しかったけど、今は上手に押せますよ。私はカタカナで『アイテキ』と彫られた判子を持っています。トルコ人は判子が大好きで、観光で来日したトルコ人の中にはお土産に判子を作る人もいます。私の母も使う機会がないのに作りました。私の夢は、子どもたちが日本とトルコ、日本と世界の懸け橋になること。私たち家族は日本の国と日本の人にとてもお世話になったから、その恩返しがしたい。子どもたちも日本が大好きですから」
二人と話せば話すほど、トルコという国を実際に訪れてみたくなっていきます。本場のヨーグルトを使った料理の味、気になりますよね。その日が来ることを待ち望みながら、まずは、ヨーグルトを使った料理作りに挑戦したいと思います。
![[後編]世界三大料理の鍵はヨーグルト?日本に惚れ込んだトルコ人夫婦の家庭料理を味わってきた|突撃!隣のヨーグルトごはん](https://yogurt-academy.com/wp/wp-content/uploads/2026/08/turkish-home-cooking-pt02-main.jpg)
