こんにちは。筆者は「すしログ」という鮨専門サイトを運営しつつ、国内外の料理を食べ歩いて20年の「食の変態」大谷だ。食のために世界を放浪し、石毛直道先生を敬愛して文化人類学を専攻。食べ歩くだけではなく自ら料理することを是としている。
今回ご紹介する「サマルカンド・テラス(SAMARKAND TERRACE)」は、高田馬場にあるウズベキスタン料理店だ。

サマルカンドはウズベキスタンにある古都で、その美しさから旅慣れた日本人旅行者に人気の土地である。
サマルカンド・ブルー。そう称される青は、この古都のイスラム建築を象徴する色だ。
ターコイズやコバルトカラーのタイルは、素朴なレンガの茶のコントラストによってひときわ精彩を放ち、ひと目で魅了される景観を作り出している。
そして、ウズベキスタンに訪問した旅行者の記憶に必ず残るもう一つの存在が、【プロフ(パロフ)】だろう。インドではプラオ、ウイグルではポロの名で知られ、日本人にもおなじみのピラフの語源とされるシルクロードの料理だ。
「カザン」と呼ばれる大鍋で、多めの油で炒めた肉や人参、玉ねぎに水を加えて煮込み、具材の上に米を重ねて炊く米料理である。
昨今日本で急速に人気を高めるインドのビリヤニのような料理であるが、味わい自体は完全に似て非なるものであり、プロフでしか得られない味の悦楽が存在する。
そんなプロフを現地に限りなく近い形で、しかも大変美味しくいただけるお店が、サマルカンド・テラスだ。

それでは、サマルカンド・テラスの魅力をお伝えしよう。
洗練された空間と現地さながらの味。高田馬場で愛される名店
サマルカンド・テラスは高田馬場で飲食店が連なる「さかえ通り」にある。
ビルの3階に入っているので、外から内観を確認できないが、店内の雰囲気は洗練されていてスタイリッシュだ。

ウズベキスタンの伝統的なアイテムを現代的な内装に落とし込んでいる。そして、スタッフの人数は多く、皆さん非常にきめ細かく、明るく、テキパキと動かれていたのが印象的だった。

お店のオーナーであるアリズィクロブ・アクマルさんは来日して15年ほど経つという。
日本で本物のウズベキスタン料理を紹介したいと考えて、2021年にお店をオープン。
結果的に、在日ウズベキスタン人から日本人まで幅広い方々に愛されて、平日の18時前であっても満席に近い人気を誇っている。
在日ウズベキスタン人からも愛されているだけあり、お料理の味は折り紙付き。日本人であっても、初めてウズベキスタン料理を食べる人から現地で食べてきた人まで、きっと笑顔になるはずだ。
ちなみに、サマルカンドのプロフと言えば、有名な歴史的逸話がある。
紀元前に古代ギリシアのアレクサンドロス大王が遠征した時、現在のサマルカンドにあった都市マラカンダで饗応に際して供された料理がプロフなのだ。
その味を気に入ったアレクサンドロス大王はマケドニアに持ち帰り、ヨーロッパに広まったと伝えられている。そのような料理をいただける現代の日本人は何と幸せであろうか。
必ず注文したい「アイラン」から名物「プロフ」まで、実食した6品を徹底紹介!
この店で、このたび僕がいただいたものは以下のとおりだ。
- アイラン:500円
- オクロシカ(オクロシュカ):880円 ※暑い季節の限定メニュー
- サムサ:430円
- マンティ:380円
- プロフセット:1600円
- ラグマン:1,350円

端的に申し上げて、アイランはオーダー必須である。
ヨーグルトドリンクなのだが、ラッシーのような甘味は無く、むしろ塩気が効いている。
しかし、塩気があっても「料理感」は低く、「ドリンク」の範疇でスッキリと楽しめる。中には細切りのキュウリも入っているのだが、料理ではなくドリンクだ。
お店の料理との相性がめちゃくちゃ良くてビックリするはずだ!
お酒好きな自分であるが、こちらのお店はお酒なしでアイランとのペアリングが正義だ!と力強く叫びたい。

オクロシカはヨーグルトを使用したスープ料理であるが、アイランとは別の味わいなので共存可能である。具として牛肉、うずらの卵、キュウリの細切り、ダイスカットのジャガイモが使用されている。

ヨーグルトの酸味がしっかり効いていて、牛肉と卵黄の織りなすコクがあり、味わい深い。
キュウリのシャキシャキ感も実に爽やか。牛肉は筋も使用していてコリコリ食感。具だくさんなので満足感も高い。非常に印象深いスープ料理だ。

マンティの生地は厚みがあり、もっちりした食感で、中には皮に牛肉と玉ねぎ、クミン。調味料はシンプルで塩と胡椒かと思われる。
肉は細かい挽肉ではなく、ダイスカットなので食感が豊かで、噛みしめる喜びがある。そして、専用付け合わせ調味料のヨーグルトソースが、あたかも和食の柑橘のように爽やかさを加える。クミンとヨーグルトの相性は格別だ。

サムサは運よく焼き立てであった。
プロフもお昼、夜の営業開始に合わせて炊くようだが、サムサも同様のようなので、可能であれば早めの時間帯の訪問がベストだと言える。
サクサクと弾ける皮は重層的で存在感があり、肉の旨味と玉ねぎの甘味が溢れ出て、生地の香りも良い。一瞬、いや暫しの間、我を失うほどの美味しさだ。
付け合わせはケチャップではなくトマトピューレベースのソース。酸味がサムサの香ばしさやコクに自然と一体化する。

プロフを口に運ぶと、まずはお米の美味しさに驚かされる。米粒はオイルをまとって香り良く、パラパラとほどけながら同時にもっちりしている。
また、良い意味でのアルデンテ感がある。印象的なのはお米がまとう甘味だ。
人参は亜麻仁油でじっくりと加熱されているためやわらかく、甘味が引き出されている。
これがお米に甘味を与えているようだ。
上に乗る肉もホロッホロで美味。ひよこ豆とレーズンも使用されていて、時たまアクセントになる。
ひよこ豆はほっくりしていて印象的な食感に仕上げられていて、穏やかな甘味を広げる。
プロフなので当然オイリーだが、決して重たくはなく、塩気の程良いので絶妙な味付けである。

ラグマンは中央アジアに分布している麺料理で、中国に入ると「ラグメン」として知られる。麺は驚くほど柔らかく、ふわんふわん、とろんとろんな食感だ。これは極めて意外な食感だった。
スープはトマトの甘味と野菜の旨味が滲み出た優しい味わい。野菜がたっぷりと使用されていて、大根、白菜、ズッキーニ、赤黄パプリカ、ピーマン、インゲン、セロリ、赤玉ねぎなどなど。
あとは牛肉が少々。麺のボリュームは少ないので、「麺入りの野菜スープ」と思って頼むのが良いだろう(ウイグルのラグメンは大皿に乗っていてボリューム感があるので念のため記載しておく)。
最後に、お店公式のプロフの作り方動画を紹介しよう。拙記事に加えて視聴いただければイメージが具体化され、きっと期待が高まるはずだ。
https://www.instagram.com/reel/DHnkGQmSger/
なお、お店を訪問する際は、平日の早い時間帯であっても予約することを推奨する。代替が効かない料理ジャンルなので、満席だった時のショックは計り知れないので…!
サマルカンド・テラス(SAMARKAND TERRACE)
電話番号:03-6908-9922
予約可否:可能
住所:東京都新宿区高田馬場3-5-5 3F
営業時間:月・水・木・土・日・祝日11:00〜16:00、17:00 - 21:00、金14:00〜21:00
定休日:火曜
公式Instagram:@samarkand_terrace

