二日酔いの朝に飲むヨーグルト入りスープ。ピレシカスパのうまみと酸味に癒される
続いて教わったのは鶏肉のスープ、ピレシカスパ(Пилешка супа|Pileshka supa)。「これは酔っぱらったときに飲むスープでもあるのよ。男性にいいわね」とリューシーさん。ヨーグルトの乳酸菌が胃腸にやさしく、短く切ったパスタも入っているので朝食替わりにもよさそうです。
ピレシカスパ(ブルガリアのチキンスープ)
分量:6人分
- 鶏もも肉:350~400g
- 玉ねぎ:1個
- 人参:1本
- じゃがいも:2個
- セロリ:1本
- パスタ(太さ1.2mm):30g
- 塩、黒コショウ:少々
<つなぎ>
- 卵黄:1個
- ヨーグルト:100g
- 小麦粉:大さじ2杯
<ソース>
- パセリ(みじん切り):少々
- にんにく(すりおろし):1片分
- レモン果汁:1個分
1. 鶏肉をゆでる。
鍋に2リットルの湯をわかし、小さじ1杯の塩を入れ、鶏もも肉を15~20分ほどゆでます。このゆで湯がスープのベースとなり、肉は具になります。
2. 野菜を入れて煮る。
ゆで上がった鶏もも肉を取り出し、鍋の中に玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、セロリを入れて10分間煮ます。これらの野菜もうまみのもとに。
3. 鶏もも肉をほぐし入れる。
取り出しておいた鶏もも肉を手でほぐし、スープの中に戻します。包丁で切るのではなく、ほぐすことで肉の繊維が残り、スープとの絡みがよりよくなります。
4. パスタを入れて煮込む。
2~3cmに折ったパスタをスープに入れ、黒胡椒を入れてから10~15分煮込みます。パスタが入ると、どことなくイタリアのミネストローネのような雰囲気に。
5. 「つなぎ」をつくる。
具に火が通ったら、スープを少し冷まして味をなじませるのもおいしさをつくるステップのひとつ。その間にやるのが「つなぎ」づくりです。「つなぎってなんですか?」と尋ねると、「見ればわかるわよ」とリューシーさん。
「つなぎ」の材料はヨーグルト、卵黄、小麦粉の3つ。ボウルにこれらを入れてよく混ぜたら、スープをお玉で2杯加え、よく伸ばしたらできあがりです。この時、ぬるめのスープを入れるのがポイント。熱々のスープを入れると、卵黄が熱で固まってしまうからです。
6. 「つなぎ」をスープに入れる。
とろとろになった「つなぎ」を鍋に入れ、全体を混ぜ合わせたら、再びスープを加熱します。ここまでくると「つなぎ」はシチューのとろみづけに近いものということがわかりますね。ヨーグルトと卵黄も入っているので、スープに爽やかさとコクも加わります。
7. 好みでソースをつくる。
「つなぎ」を入れたらスープはできあがり。ですが、ソースもつくるとさらにブルガリアらしい味わいを楽しめます。
こちらもつくり方は実に簡単。みじん切りにしたパセリ、すりおろしにんにく、レモンの絞り汁を合わせるだけです。「ブルガリア料理ではけっこうにんにくを使うのですよ」とリューシーさん。
特にヨーグルトとにんにくの調味料は、ブルガリアの近隣のトルコ、セルビア、ルーマニアなどでも見られる組み合わせ。覚えておくと、ドレッシングや肉のソースに応用できそうですね。
さっそくスープを味見させていただくと、鶏肉のしっかりとしたうまみに野菜のエキス、ヨーグルトの風味が加わって、なんとも滋味深く爽やかなおいしさ。これは二日酔いに効くといわれるのも納得です。
ヨーグルト尽くしなのに飽きない!バニツァとスープの美味なる出合い
そうこうしているうちに、キッチンにバニツァの焼けるいい香りが漂ってきました。
「バニツァは熱々がおいしいの」とは聞いていましたが、オーブンから出てきた瞬間、言葉を超えて腑に落ちました。さっそく熱々の空気をはらんだ状態でちぎると、ヨーグルトとチーズの香りがぶはぁ!
口にすると、軟らかいパンのようでもあり、ヨーグルトとチーズたっぷりのとろけるフィリングも相まって飲みもののようにも食べられる。直径30cmはあるバニツァですが、これは秒速でなくなってしまいそう…!
しかしこの後、スネジャンカ、ヤイツァ・ポ・パナギュルスキづくりも待っています。これらがまた、簡単なのにおいしく後を引くブルガリア料理なのですよ。続きは後編にて!
料理はもちろん、食器、刺繍、インテリアなど、ブルガリアを感じることができるリューシー先生の料理教室は『aini』から申し込みできます。
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