まるで呪文! パプリカ風味のヨーグルトエッグ、ヤイツァ・ポ・パナギュルスキ
最後にご紹介するのは、ヤイツァ・ポ・パナギョルスキ(Яйца по Панагюрски|Yaica po Panagyurski)。まるで呪文のようなこの料理名は、パプリカ風味のヨーグルトエッグです。
名前の由来は、ブルガリアの首都ソフィアから東に約90km、パナギュリシテという村の名前。小さな村の郷土料理かと思いきや、いまではブルガリア各地で食べられているメジャーな料理なんですって。
「簡単にできて栄養価も高く、ブルガリア人ならほぼ毎月食べるような料理ですよ」とリューシーさん。いったいどんな味なのか…!
ヤイツァ・ポ・パナギョルスキ(パナギュリシテ村の卵料理)
分量:4人分
<ポーチドエッグ>
- 卵:4個
- 酢:少々
<調味ヨーグルト>
- ヨーグルト:200g
- 『kiri』:4個(またはフェタチーズ 40g)
- バター:20g
- サラダ油:大さじ1杯
- パプリカパウダー:小さじ1杯
- にんにく(すりおろし):1片分
1. 4つの小鉢にヨーグルト、チーズ、にんにくを入れてよく混ぜる。
ヤイツァ・ポ・パナギョルスキは、ほぼこの器の上で料理が完成してしまう手軽な料理です。小鉢の上にヨーグルト50g、『kiri』1個、すりおろしたにんにくを入れ、それぞれの器の上で混ぜ合わせます。
![ヨーグルトを器に入れます。ここまではどこでも見る朝ごはんの準備と変わりません。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_18.jpg)
![ヨーグルトにすりおろしにんにくを入れると、ぐっと東ヨーロッパな感じに。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_19.jpg)
![さらに『kiri』を入れて、潰しながら混ぜます。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_20.jpg)
2. 鍋でポーチドエッグをつくる。
ヤイツァ・ポ・パナギョルスキのヤイツァとは、ブルガリア語で卵の意味。ヨーグルトたっぷりの料理ではありますが、主役はその上にのったポーチドエッグでもあります。
湯の中で白身を固めるコツは、酢を小さじ1杯入れること。沸騰した湯に小さじ1杯の塩と酢を加えて火を止め、器に割り入れた卵を静かに湯の中に落とします。「卵の固さは好みで調整してね。半熟なら中火で2~3分、固くするなら4~5分」。
![湯の中に酢を入れると、白身が湯の中に散らばりにくくなります。ポーチドエッグづくりの基本です。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_21.jpg)
![卵を入れるときはそーっと置くように。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_22.jpg)
![半熟、固ゆで、好みによって時間を調整します。ゆで卵より早くできるのがいいですね。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_23.jpg)
![ポーチドエッグはできた順に小鉢に入れます。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_24.jpg)
3. パプリカオイルを作ってヨーグルトエッグにかける。
仕上げはパプリカオイルづくりです。小さめのフライパンにサラダ油とバターを熱し、完全に溶けたところで火を止めたら、パプリカパウダーを投入。
香り高いパプリカオイルを熱々のうちに卵の上にかければ、ヤイツァ・ポ・パナギョルスキのできあがり!
![サラダ油にバターを溶かすと、焦げにくくサラッと仕上がります。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_25.jpg)
![パプリカパウダーを混ぜるとパアッとオイルが朱色に](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_26.jpg)
![ポーチドエッグの上にパプリカオイルをかけて仕上げます。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_27.jpg)
ヨーグルト三昧なのに食べ飽きない!美しく心躍るブルガリアの食卓
4品を作り終え、いよいよ待望の試食タイム。深紅のクロスに、ブルガリアが誇る伝統的な陶器、トロヤン焼きに盛り付けられたスネジャンカ(ヨーグルトサラダ)やピレシカスパ(鶏肉のスープ)が実に映えます。このビジュアルだけでもうおいしい…!
![本日教わった料理の数々。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_28.jpg)
さらにリューシーさんが「これを食べなければブルガリア料理と食べたとは言えないわよ」と出してくれたのがパプリカのマリネ、チュシコペク(Печени чушки|chushkopek)と、豚肉のワイン煮込みであるカヴァルマ(Каварма|Kavarma)。
パプリカの安い時期にたっぷり買って、焼いて皮を剥き、マリネにして瓶詰するのがブルガリア人の習慣なんですって。
そして驚くことに、ブルガリアにはパプリカを焼く専用の機器、チュラクペック(Чушкопек)があるそう。一緒に参加したシルちゃん曰く「ソ連時代からある機械じゃないかな」。
![パプリカのマリネ。ブルガリアのパプリカはもっと大きく肉厚だそうです。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_29.jpg)
さらに、豚肉をワイン煮込んだカヴァルマ(Каварма|Kavarma)も出していただきました。
カヴァルマは、冬に定番の煮込み料理。「トルコやギリシャにもあるけど、ブルガリアは豚肉を使うことが多いの」とリューシーさん。さっそく取り分けていただくと、コクのあるやさしいうまみのシチューといった感じで、焼きたてのバニツァ(チーズパイ)にもぴったり。味のアクセントにスネジャンカ(ヨーグルトサラダ)もよく合います。
そして、料理名だけでわくわくしてしまうヤイツァ・ポ・パナギョルスキは、パプリカオイルを風味付けに効かせたポーチドエッグ入りヨーグルト。
卵の効果でコクのあるスープのような雰囲気もあり、甘くないヨーグルト料理として、朝ごはんにもよさそう。高たんぱくなので、筋トレ中や鍛えている方にもいいですね。
![ブルガリア料理を囲んで楽しいひと時。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_30.jpg)
「ブルガリアでは朝は必ずヨーグルトを食べる人が多いんです。ラズベリーやいちごなど、ベリーのジャムを入れるのよ」
「ブルガリアでは大腸がんが比較的少ないといわれていて、これもヨーグルトの乳酸菌がいいんじゃないかって言われているの」
そんなブルガリアの話を聞きながら、多種多様なヨーグルト料理を楽しんでいるうちに、すっかりブルガリアを旅してみたくなっている自分がいました。
量の多少こそあれ、さまざまな工夫とともにヨーグルトが使われているブルガリア料理。日本人が出汁の風味に親しんでいるように、ブルガリア人は日々、ヨーグルトに親しんでいるのかもしれません。
いつかは本場で…!そんな想いを胸に、リューシーさんのブルガリア料理教室を後にしました。
リューシーさんに教わったブルガリアのヨーグルト料理
![焼きたてがおいしいブルガリア定番のパイ。薄く伸ばしたパイ生地に、3種類のチーズを巻いて焼き上げます。大きいのに重たくなく、ヨーグルトの効果で爽やかなあと味。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_31.jpg)
![鶏肉、野菜、ヨーグルト、パスタでつくる栄養満点のスープ。レモンとにんにくのソースをかけるとキリッとした味わいに。ブルガリアでは二日酔いの日に食べる定番の料理。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_32.jpg)
![もっちりとして濃厚な水切りヨーグルトに、ディルの清々しい香りときゅうりの風味、後味ににんにくが香るヨーグルトサラダ。肉料理のつけあわせにもぴったりです。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_17.jpg)
![にんにくとパプリカオイルが味付けの決め手。スープのようであり、おかず系ヨーグルトでもあり、卵料理でもあるブルガリアのヨーグルトエッグ。](/wp/wp-content/uploads/2023/02/img_sato_tonarigohan01-02_33.jpg)
料理はもちろん、食器、刺繍、インテリアなど、ブルガリアを感じることができるリューシー先生の料理教室は『aini』から申し込みできます。
遊んで学べる体験プラットホーム『aini』
https://helloaini.com/users/135997